アイシング

アイシング：焼き菓子を彩る甘い装飾

アイシングは、ケーキやクッキーなどの焼き菓子の表面を覆う、甘く美しいペースト状の装飾です。アメリカでは「フロスティング」という名称で親しまれており、その華やかな見た目から、誕生日ケーキや特別な日のスイーツに欠かせない存在となっています。

アイシングの種類と材料

アイシングに使用される材料は多岐に渡り、ホイップクリーム、バタークリーム、マジパン、フォンダンなどが用いられます。ココアパウダーや食用色素を加えることで、色とりどりのアイシングを作り出すことができ、絞り出し袋の先端を変えることで、模様や形も自在にアレンジできます。

アイシングの歴史：中世ヨーロッパから現代へ

砂糖が広く普及する以前の中世ヨーロッパでは、香辛料入りのシュガーペースト、アーモンドペースト、クインゼリーなどがアイシングの代わりとして用いられていました。これらのペーストを用いて、祝宴の余興であるサトルティーズでは、精巧な人物や動物、城や風景といった彫刻が作られたと伝えられています。

18世紀前半までのアイシングの製法は、オーブンから出した熱いケーキにバラ水入りの卵白を塗り、砂糖を振りかけて低温で乾燥させるという、手間のかかるものでした。しかし、18世紀後半になると、ケーキとアイシングの間に熱いマジパンを塗る方法が考案され、低温オーブンでの乾燥工程が不要になりました。同時に、きめ細やかな粉砂糖（アイシングシュガー）の精製技術が向上したことで、アイシングをなめらかに仕上げるための加熱工程も不要となり、より手軽にアイシングを作れるようになりました。

様々なアイシング：食感と用途のバリエーション

アイシングの種類は豊富で、それぞれに異なる特徴を持っています。

ロイヤルアイシング: 卵白を主材料とするアイシングで、冷えると固まる性質を持っています。繊細な装飾に適しています。
ウォーターアイシング: 粉砂糖と水（または牛乳）を混ぜ合わせた、シンプルなアイシングです。固まらず、ふんわりとした食感が特徴で、ヴィクトリアサンドイッチやマフィンなどの柔らかいケーキに適しています。
ボイルアイシング: ウォーターアイシングを煮詰めて作るアイシングです。ウォーターアイシングと同様に、固まらずふんわりとした食感です。
セブンミニッツ・フロスティング: ロイヤルアイシングと似た材料で作られますが、製法が異なり、メレンゲのような甘みのある食感が特徴です。
* フォンダンアイシング: 溶かしたチョコレートガナッシュやフォンダンを水で薄めたアイシングで、フランス料理などで用いられます。

これらのアイシングは、それぞれの特性を活かして、様々な焼き菓子のデコレーションに用いられています。アイシングの種類によって、仕上がりの見た目や食感も大きく変わるため、使用するケーキやクッキーに合わせて、最適なアイシングを選ぶことが重要です。現代では、様々な材料や製法が開発され、より手軽で多様なアイシングが楽しめるようになっています。

もう一度検索