アイスプラント

アイスプラントについて

アイスプラント（学名: Mesembryanthemum crystallinum）は、ハマミズナ科メセンブリアンテマ属に属するユニークな植物です。主にヨーロッパや南アフリカが原産で、その名の通り、凍ったように見える肉厚の葉と茎が特徴です。この見た目は、特有の塩類を蓄える細胞によっており、使用されている英語名「アイスプラント」はこの特徴に由来しています。特に、肥料として近縁の種の食用利用が進んでいることも注目されています。

生態と特徴

アイスプラントは塩生植物であり、乾燥や高塩環境でも生育が可能です。特に海水程度の塩分濃度での水耕栽培が可能なため、耐塩性の研究においてもモデル生物として重宝される存在です。栽培条件としては、約6ヶ月の成長サイクルがあり、塩や乾燥のストレスに応じて光合成の形式を変えることができます。通常の光合成を行うC3型から、ストレス条件下ではCAM型光合成に移行し、アミノ酸や環境適合溶質を生合成し、過酷な条件に耐えられるよう進化しています。

また、アイスプラントの葉の表面には、塩を隔離するための特別な細胞、塩嚢細胞（ブラッダー細胞）が発達しています。この細胞は2ミリ程度の大きさがあり、透明感のある美しい光を放つことから、種名に冠されている「クリスタリナム」の由来となっています。

栽培方法

アイスプラントは発芽の適温が約20度とされ、過湿には注意が必要です。日当たりが良く水はけの良い場所で育つことが推奨され、日本では春に播種を行い、初夏に収穫する方法と、晩夏に播種して秋にかけて収穫する方法が存在します。育苗ポットでの発芽後、10cm程に成長したら定植し、注意深く扱う必要があります。乾燥気味に育てることがポイントで、定期的に肥料を与えながら葉先からの収穫を行います。

利用方法

若い葉や茎は食用として楽しることができ、特有のシャキッとした食感と塩味が特徴です。フランスではフィコイド・グラシアルと呼ばれ、サラダや天ぷら、および炒め物と料理にも頻繁に使用されています。最近では日本国内でも栽培が進み、多くの商標名で販売されており、その人気が高まっています。

栄養面においては、アイスプラントには中性脂肪を抑え、内臓脂肪を減少させる働きがあるとされる化合物「ミオイノシトール」が含まれています。加えて血糖値の低下や肝機能の改善にも寄与する成分も秘められています。また、アイスプラントはその保湿性能やビタミン効果が注目され、美容商品としても活用されるなど、多様な可能性を秘めています。

参考文献

• - 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年。
• - 金子美登『有機・無農薬でできる野菜づくり大事典』成美堂出版、2012年。

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