アイダホ時間

アメリカ合衆国のアイダホ州は、その広大な面積ゆえに、二つの異なる標準時を使用しています。これらの時間帯は、地理的な区分に基づいて適用され、いずれの時間帯においても夏時間制度が実施されています。

州の北部、特にカナダ国境と接する細長い地域である「アイダホ・パンハンドル」と呼ばれる区域では、太平洋標準時 (PST) が採用されています。この標準時は協定世界時 (UTC) からマイナス8時間のオフセット（UTC-8）に設定されており、毎年定められた夏時間期間中は太平洋夏時間 (PDT) となり、UTCからマイナス7時間（UTC-7）が進められます。具体的には、以下の郡および特定の地域がこの太平洋標準時区域に含まれます。

• - ベネワ郡
• - ボナー郡
• - バウンダリー郡
• - クリアウォーター郡
• - クートニー郡
• - レイタ郡
• - ルイス郡
• - ネズパース郡
• - ショショーニ郡
• - アイダホ郡のうち、サーモン川の北岸に位置する地域
• - バーグドーフおよびウォーレンと呼ばれる集落

上記の太平洋標準時適用地域以外の、アイダホ州の大部分では山岳部標準時 (MST) が使用されています。州都であるボイシを含む人口の多い地域は、この山岳部標準時区域に含まれます。山岳部標準時はUTCからマイナス7時間（UTC-7）のオフセットを持ち、夏時間期間中は山岳部夏時間 (MDT) としてUTCからマイナス6時間（UTC-6）が適用されます。

アイダホ州で採用されている太平洋標準時および山岳部標準時の両方で、夏時間が実施されます。これにより、春から秋にかけての期間、時刻は標準時より1時間進められ、それぞれ太平洋夏時間、山岳部夏時間となります。夏時間の開始および終了日は、アメリカ合衆国の連邦法に基づき全米で統一されています。

アイダホ州における現在の標準時区分は、1918年に制定された標準時法によって基礎が築かれました。当初は州の大部分が太平洋標準時区域とされ、東部のみが山岳部標準時区域とされていましたが、その後変更が行われ、現在の区分に至っています。特に注目すべき歴史的経緯として、20世紀中頃のおよそ30年間、現在の太平洋標準時区域に含まれるショショーニ郡が、周辺地域とは異なる独自の時間運用を行っていた時期があります。この特殊な状況下では、冬季には東隣のモンタナ州やアイダホ州南部と同じ時間帯となり、夏季には西隣のワシントン州スポケーンやアイダホ州北部（現在の太平洋時間区域）と同じ時間帯になるという複雑な状況が生じていました。

世界の標準時情報を取りまとめているtz database（タイムゾーンデータベース）には、アイダホ州の各地域に適用される標準時の情報も収載されています。2017年b版のデータセットにおいても、アイダホ州の時間帯区分や夏時間に関する正確な情報が記録されています。

州内で二つの異なる標準時が使用されているため、特に州内の時間帯境界付近を移動する際や、異なる時間帯の地域との間で連絡を取る際には、現在の正確な時間帯を確認することが重要です。

もう一度検索