スポケーン

スポケーン：ワシントン州東部の魅力的な都市

スポケーンは、アメリカ合衆国ワシントン州東部に位置する中規模都市であり、スポケーン郡の郡庁所在地でもあります。シアトルに次ぐ州内第2の都市で、人口は約23万人（2020年国勢調査）。シアトルの東約450km、ポートランドの北東約600kmに位置し、コロンビア台地の東端、ロッキー山脈の西麓という自然豊かな環境に恵まれています。比較的治安も良好です。

地名と愛称

スポケーンという地名は、先住民のスポケーン族の言葉で「太陽の子」を意味します。かつてはスポケーン・フォールズと呼ばれており、市内を流れるスポケーン川（コロンビア川の支流）に多くの滝があることに由来します。英語の発音はスポーケインが一般的ですが、現地ではスポケーンと呼ばれることも多く、日本語表記も複数存在します。市民からは「ライラックシティ」という愛称で親しまれ、「フープタウンUSA」という公認の別称も持ちます。これは、毎年開催されるアメリカ最大のバスケットボール競技会「フープ・フェスト」に由来しています。

歴史

古くからスポケーン川はサケが豊富で、先住民が集落を形成していました。1880年、アメリカ陸軍がキャンプ・スポケーンを開設したことが、この地の発展の始まりとなりました。翌年にはノーザン・パシフィック鉄道が開通し、ヨーロッパ系移民が流入。1881年11月29日、正式に「スポケーン・フォールズ」として市制施行されました。その後、1883年に現在の「スポケーン」に改称されました。

1889年の大火は、市の中心部を壊滅的な被害に遭わせました。ポンプ場の技術的な問題により消火活動が遅れ、27ブロックが焼失しました。しかし、この大惨事にも関わらず、スポケーンは発展を続けました。1892年にはグレート・ノーザン鉄道が開通し、同社の操車場と北西部最大の駅が設置されました。この駅舎は、後述する国際博覧会の開催に合わせて取り壊されましたが、リバーフロント・パークに時計塔が残っています。

1974年に開催されたスポケーン国際環境博覧会は、スポケーンの歴史における転換期となりました。当時、万国博覧会を開催した都市としては最小規模でしたが、環境をテーマに日本を含む各国が参加しました。この博覧会を契機に、スポケーンは鉄道の町から、明確なダウンタウンを持つ商業都市へと変貌を遂げました。博覧会で建設された建物も多くは現在も使用されており、アメリカ合衆国館はIMAXシアター、ワシントン州館はINB演技芸術センターとして利用されています。博覧会跡地はリバーフロント・パークとなり、市民の憩いの場として親しまれています。

地理・気候

スポケーンは、北緯47度40分24秒 西経117度24分37秒に位置し、標高は610mです。コロンビア台地の東端、ロッキー山脈の西麓に位置し、スポケーン川が流れ、滝が多く見られます。周辺は広大な小麦畑やステップが広がっています。総面積は151.6km²で、そのうち1.3%が水域です。高緯度・内陸のため冷涼な気候で、夏も過ごしやすいです。年間降水量はシアトルの半分以下と乾燥していますが、水源が豊富で水不足は稀です。ケッペンの気候区分では地中海性気候（Csb）に属します。

交通

スポケーン国際空港（GEG）が市の玄関口として機能しています。ワシントン州東部とアイダホ州北西部へのアクセスにも利用され、州間高速道路I-90に接続しており、ダウンタウンから車で約10分です。I-90はシアトルとボストンを結ぶ大陸横断の幹線道路です。バス路線も整備されていますが、かつてシアトルとミネアポリスを結んでいた長距離バス路線は廃止されています。現在、シアトル、ポートランド方面、またモンタナ州ビリングスやノースダコタ州ファーゴ方面へのバス路線があります。アムトラックの駅もあり、シアトル・ポートランドとシカゴを結ぶエンパイア・ビルダー号が停車します。市内にはスポケーン交通局（STA）が運営する路線バスがあり、ライトレールの建設も計画されています。

教育

スポケーン市の公立学校はスポケーン公立学区の管轄下にあります。この学区はPBSと提携したテレビ局KSPS-TVを運営しており、ワシントン州東部だけでなく、アイダホ州、モンタナ州の一部、カナダのカルガリーやエドモントンでも放送されています。大学も充実しており、ゴンザガ大学、ワシントン州立大学スポケーン校、イースタン・ワシントン大学、ホイットワース大学といった4年制大学と、2つのコミュニティカレッジがあります。ゴンザガ大学は男子バスケットボールの名門校としても知られています。また、武庫川女子大学の海外キャンパスであるムコガワ・フォート・ライト・インスティチュートもあります。

人口動勢（2000年国勢調査）

2000年の国勢調査によると、スポケーン市の人口は195,630人でした。人口密度は1,307.7人/km²でした。人種構成は白人が89.46%を占め、その他のアフリカン・アメリカン、ネイティブ・アメリカン、アジア人などが構成されています。年齢の中央値は35歳で、世帯平均人数は2.32人、家族平均人数は2.98人でした。世帯収入の中央値は32,273米ドル、家族収入の中央値は41,316米ドルでした。貧困率は15.9%でした。

姉妹都市

スポケーンは、西宮市（日本）、リムリック（アイルランド）、堤川市（韓国）、吉林市（中国）と姉妹都市提携を結んでいます。西宮市とは1961年から提携しており、最も長い歴史を持つ姉妹都市関係です。

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