アウクスブルク - ネルトリンゲン線

アウクスブルク - ネルトリンゲン線は、バイエルン州のアウクスブルクとネルトリンゲンを結ぶ鉄道路線です。特にドナウヴェルト - ネルトリンゲン区間は「リース鉄道」の一部として知られ、ネルトリンガー・リース盆地に由来する名称が付けられています。この路線は、バイエルン王国が建設したルートヴィヒ南北鉄道によって形成されました。

沿線概況

アウクスブルク駅から列車はアウクスブルク - ウルム線と共通区間を走行し、ヴェルトアッハ川とアウクスブルクのロカル線を越えます。オーバーハウゼン駅でウルム方面への線路が分岐し、アウトバーン8号の下を通過してゲルストホーフェン駅へと向かいます。メルティンゲン駅からはヴェルティンゲンへの支線が分岐します。列車はレヒレヒ川と並行して走り、ドナウ川とツゥザム川に架かる鉄道橋を渡ります。ドナウヴェルト駅ではトロイヒトリンゲン方面への鉄道が分岐し、路線は北西方向へと進みます。

ドナウヴェルト - ネルトリンゲン区間は電化されておらず、単線です。ドナウヴェルトからハルブルクまでは、ドナウヴェルト - トロイヒトリンゲン線とは異なり、ヴォェルニッツ川と並行して伸びています。ヴォルニッツ川にはハルブルクまでいくつかの鉄道橋が架かっています。ハルブルク駅から終点のネルトリンゲン駅までは、列車はリース盆地を直線的に貫通します。このため、ドナウヴェルト - ネルトリンゲン区間は「リース線」として知られています。ドナウヴェルト駅は1877年まで旧市街の東側に位置していました。ルートヴィヒ南北鉄道はドナウヴェルトトンネルを通って西へカーブし、その後ヴォェルニッツ川を渡って現在の線路に合流しました。

フィルス谷線とアウクスブルク - ウルム線が利用できない場合、この路線はシュトゥットガルトとミュンヘン間の長距離輸送の迂回経路として利用されます。そのため、1971年と1972年にはネルトリンゲン - ドナウヴェルト区間に電化設備が設置されました。

歴史

ルートヴィヒ南北鉄道

1835年にドイツで最初の鉄道路線が開通した後、アウクスブルクの商人たちはアウクスブルク - ニュルンベルク間の鉄道をドナウヴェルト、トロイヒトリンゲン経由で建設・運営するために株式会社を設立しました。しかし、ルートヴィヒ1世は数年後、国有鉄道による鉄道建設を宣言しました。ドナウヴェルト - トロイヒトリンゲン区間はフランケン・アルプの地形のため建設・運営が困難であったため、株式会社は1841年に解散しました。バイエルン政府はルートヴィヒ南北鉄道の経路をネルトリンガー・リースへ迂回させ、フランケン・アルプの問題を回避しました。バイエルン王国議会は1843年8月25日に南北鉄道建設を議決し、1844年11月20日にアウクスブルク・オーバーハウゼン駅 - 旧ノルトハイム駅間が開業、1849年5月15日にドナウヴェルト - ネルトリンゲン区間がネルトリンゲン - オェティンゲン区間とともに開通しました。

1863年にシュトゥットガルト - ネルトリンゲン線が開通し、この路線はシュトゥットガルト方面への輸送も担うことになりました。1877年にはインゴルシュタット - ノイオッフィンゲン区間のドナウ谷鉄道の建設に伴い、ドナウヴェルト区間の線路が大規模に移設されました。旧線路は旧市街の右側にトンネルとともに残されています。1906年にはトロイヒトリンゲン方面への線路が1835年頃の計画通りフランケンアルプを貫通して開通しました。それ以来、ドナウヴェルト - ネルトリンゲン区間はシュトゥットガルト方面のみの輸送を担っています。既存のドナウヴェルト - プラインフェルト間はその重要性を失いました。

ドイツ国営鉄道時代

1933年にアウクスブルク - ニュルンベルク区間の電化工事が開始され、1935年5月10日に完了しました。

ドイツ連邦鉄道時代

1971年と1972年には、ネルトリンゲン - ドナウヴェルト区間で電化設備の設置工事が行われました。1973年のドイツ連邦交通計画では、ヴュルツブルク - ニュルンベルク - アウクスブルク区間の改修工事が計画されました。アウクスブルク・オーバーハウゼン - ドナウヴェルト区間では1981年に走行速度200 km/hが可能となり、ドイツでこの速度に到達した最初の区間となりました。この区間は、ドイツ鉄道や私設鉄道会社の新技術試験区間として活用されています。1977年には遠方信号機および主信号機が併設された統合システムがこの区間で試験的に設置されました。

1984年10月17日には、120形電気機関車が3両の客車を牽引し、ドナウヴェルトとアウクスブルク区間で265 km/hの世界記録を達成しました。1993年には同じ区間でICE列車の試運転が行われ、速度は333 km/hの新記録に到達しました。1993年には新型統合信号システムの導入により既存の信号機は多過ぎとなったものの、個々の信号機は今でも作動しています。

ドイツ鉄道時代

2003年2月から7月にかけて、エーベルメルゲンとドナウヴェルトの間の洪水堤防で大規模な地滑りが発生し、ネルトリンゲン - ドナウヴェルト区間の列車運行が完全に停止されました。この状況は、線路を閉鎖する検討を促しました。ドナウヴェルト - ネルトリンゲン区間の鉄道営業が再開されて以来、この区間は完全に独立して運営されています。

2011年にはネルトリンゲン駅にLED式発車標が設置され、地下道が再建されました。さらに、ヴォェルニッツシュタイン駅とモェティンゲン駅には新しい避難所が建設されました。モェティンゲン駅およびホッピンゲンとエーバーメルゲン駅には、2012年にLED式発車標が設置されました。

運行形態

旅客輸送

遠距離輸送では、ICEやIC列車がアウクスブルク - ドナウヴェルト区間を走行します。

ICE: ミュンヘン - アウクスブルク - ドナウヴェルト - ニュルンベルク - ベルリン
IC 26: オーバーストドル / ベルヒテスガーデン / ミュンヘン - アウクスブルク - ドナウヴェルト - ヴュルツブルク - カッセル・ヴィルヘルムスホェーエ - ハノーファー - ハンブルク

地域輸送では、アウクスブルク - ドナウヴェルト区間はアウクスブルク運輸運賃連合の運賃システムにより管理されています。

快速列車（RE 16）：アウクスブルク - マイティンゲン - ドナウヴェルト - トロイヒトリンゲン - ロート - ニュルンベルク。120分間隔。DB445形二階建て電車を使用。
快速列車（RE 80）：ミュンヘン - パージング - メリング - アウクスブルク - マイティンゲン - ドナウヴェルト - トロイヒトリンゲン - アンスバッハ - ヴュルツブルク。120分ごとに運行。ÖBB系列アルヴェリオ運営。デジロHCまたはミレオを使用。
普通列車（RB 87）：ミュンヘン - パージング - メリング - アウクスブルク - オーバーハウゼン - ゲルストホーフェン - ガブリンゲン - ラングヴァイト - ヘルベルツホーフェン - マイティンゲン - ヴェステンドルフ - ノルデンドルフ - メルティンゲン - ボイメンハイム - ドナウヴェルト。60分ごとに運行。ÖBB系列アルヴェリオ運営。ミレオを使用。
普通列車（RB 89）：（アウクスブルク -）ドナウヴェルト - ヴォェルニッツシュタイン - エーバーメルゲン - ハルブルク - ホッピンゲン - モェティンゲン - ネルトリンゲン - ゴルツホェーフェ - アーレン。60分ごとに運行。ÖBB系列アルヴェリオ運営。RB87と同じ車両を使用。

貨物輸送

主要な貨物顧客は、ハールブルクのマーカーセメント工場です。ヴァッサーアルフィンゲンにあるシュヴァーベン製鉄所には貨物列車が出入りしています。

もう一度検索