アウディ・80

アウディ 80：ドイツが生んだ名車とその歴史

アウディ80は、アウディ社が1972年から1995年にかけて製造販売した中型乗用車です。4世代にわたるモデルチェンジを経て、高い人気を博しました。その歴史、技術革新、日本市場における展開など、アウディ80の全貌に迫ります。

初代 B1型 (1972年 - 1978年)

1972年8月、F103の後継として登場した初代アウディ80（B1型）。フォルクスワーゲングループの新世代中型車として、翌年には初代パサートのベースにもなりました。水冷直列4気筒SOHCエンジンと前輪駆動という、当時としては先進的なメカニズムを採用。ジウジアーロによるスタイリッシュなデザインも相まって、1973年にはヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、高い評価を獲得しました。日本への導入は1973年夏。ヤナセを通じて、1.5Lエンジンの「80GL」が正規輸入されました。

2代目 B2型 (1978年 - 1986年)

1978年9月、フルモデルチェンジを果たした2代目（B2型）。初代と同様にジウジアーロがデザインを担当し、より洗練されたフォルムとなりました。パサートとの姉妹車関係は維持されましたが、アウディ独自の個性を明確に打ち出しました。特徴的なのは、メーター周辺にスイッチを集中させた「サテライトスイッチ」で、後のアウディ車にも受け継がれるデザイン要素となりました。日本市場では4ドアモデルがヤナセを通じて販売され、左ハンドルと右ハンドル仕様が用意されました。1980年にはクーペモデルも登場。北米市場では「4000」として販売されました。1983年には5気筒エンジンと4WDシステム「クワトロ」搭載モデルが追加され、アウディの技術力を示す象徴的なモデルとなりました。

3代目 B3型 (1986年 - 1991年)

1986年のパリサロンでデビューした3代目（B3型）。デザインはアウディ社内チームが担当し、空力特性に優れたボディを実現しました。パサートとの関係は解消され、アウディ独自の技術開発路線が明確になりました。徹底したフラッシュサーフェース化による空力性能の向上や、安全性を高めたボディ構造などが特徴です。日本市場への導入は1987年6月。1.9Lエンジンのモデルが販売開始され、その後、クワトロモデルや高性能モデル「シュポルト」などが追加されました。日本市場では、アウディのブランドイメージ向上に大きく貢献しました。

4代目 B4型 (1991年 - 1995年)

最終モデルとなる4代目（B4型）は1991年に登場。ホイールベースの延長により室内空間が拡大され、居住性が向上しました。ワゴンモデル「アバント」も追加され、より幅広い顧客層を獲得しました。また、電子制御4速ATの採用や、V6エンジン搭載車種の設定など、技術的な進化も目覚ましく、アウディのフラッグシップモデルとしての地位を確立しました。ポルシェとの協業による高性能モデル「RS2」も登場し、スポーツモデルとしての魅力も発揮しました。1995年、「A4」への移行に伴い、アウディ80は生産終了。長きにわたる歴史に幕を閉じました。

アウディ80の日本市場における成功

アウディ80は、日本市場においても大きな成功を収めました。ヤナセによる輸入販売は、安定した販売網と高品質なサービスを提供することで、アウディブランドの浸透に貢献しました。特に、3代目、4代目では、スポーティなモデルや高性能モデルの投入により、スポーティなドイツ車を求める日本のユーザー層を掴みました。アウディ80の成功は、日本市場における輸入車の販売拡大にも影響を与えました。

まとめ

アウディ80は、時代を反映しながらもアウディ独自の技術とデザインを追求し続けたモデルです。4世代にわたる進化の過程は、アウディの技術力とブランド力の成長を象徴しており、自動車史に大きな足跡を残しました。そのスタイリッシュなデザインと高い走行性能は、今もなお多くのファンを魅了し続けています。

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