アウディ・RS2

アウディRS2アバント：伝説のスポーツワゴン

1994年、アウディは世界を驚かせる一台のスポーツワゴンを発表しました。それが、アウディRS2アバントです。80アバントをベースに、名門ポルシェがその匠の技を注ぎ込んだこのモデルは、類を見ない高性能と希少性で、今もなお多くの自動車愛好家を魅了し続けています。

誕生の背景：アウディとポルシェの夢のコラボレーション

RS2アバントの開発は、アウディとポルシェというドイツを代表する2大メーカーの協業によって実現しました。ポルシェはそれ以前、メルセデス・ベンツと共同でメルセデス・ベンツ500Eを開発していました。しかし、その後アウディとのRS2開発が明らかになると、メルセデス・ベンツはポルシェとの関係悪化を招き、500Eの生産ラインはそのままRS2の生産に転用されることとなります。

アウディ80アバントをベースとするRS2は、ポルシェの専門技術を駆使して開発されました。ポルシェは、ボディ補強、シャシーチューニング、そしてエンジンチューニングといった、あらゆる面でその技術力を発揮しました。その結果、RS2は、ワゴンというボディタイプを覆すほどの運動性能を手に入れたのです。

圧倒的なパフォーマンス：スポーツカー並みの走り

RS2アバントに搭載されたエンジンは、2.2リッター直列5気筒DOHCターボ。最高出力は315bhp(232kW)/6,500rpm、最大トルクは410Nm/3,000rpmという、当時としては驚異的なスペックを誇ります。これにより、最高速度は約262km/h、0-100km/h加速は5.4秒という、スポーツカー並みのパフォーマンスを実現しました。

妥協なきこだわり：ポルシェ譲りの高性能パーツ

RS2アバントの性能は、エンジンだけではありません。ブレーキシステムには、ポルシェ928S4と同じブレンボ製キャリパーとディスクローターを採用。サスペンションもポルシェの技術が投入され、優れたハンドリングを実現しています。さらに、ホイールはポルシェ964カップデザインの17インチアルミホイールが装着され、そのルックスも魅力的です。

そして、特筆すべきはその生産工程です。アウディで塗装されたボディは、その後ポルシェのロスレ・バウ工場へと送られ、そこでボディ補強と最終組み立てが行われました。この工場は、ポルシェ959なども生産された、少量生産に特化したハンドメイド工場です。エンブレムや車検証入れには、アウディとポルシェの両方のロゴが刻印され、この異色のコラボレーションを象徴しています。

限定生産の希少性：コレクターアイテムとしての価値

当初は2,200台限定の生産予定でしたが、最終的には2,891台が生産されました。それでも、その生産台数の少なさから、RS2アバントは今や希少価値の高いコレクターズアイテムとなっています。さらに、フォルクスワーゲンの当時の会長、フェルディナント・ピエヒがセダンベースで特注した、唯一無二のRS2セダンも存在したと言われています。

まとめ：伝説に残る一台

アウディRS2アバントは、アウディとポルシェという2つの名門メーカーの技術が融合した、まさに伝説的な一台です。その圧倒的なパフォーマンス、希少性、そして開発秘話の数々は、これからも多くの自動車ファンを魅了し続けるでしょう。生産終了から長い年月が経過した現在でも、その人気は衰えることを知らず、中古市場においても高値で取引されています。まさに、一台のクルマを超えた存在と言えるでしょう。

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