アウディーイウカの戦い (2022年)

アウディーイウカの戦い

アウディーイウカの戦いは、2022年2月から2024年2月にかけて、ウクライナ東部のドネツィク州アウディーイウカとその周辺地域で繰り広げられた、ロシア軍とウクライナ軍との間の激しい戦闘です。

戦いの背景

アウディーイウカは、2014年以降、親ロシア派武装勢力とウクライナ軍との間で断続的に戦闘が行われてきた地域であり、ドンバス地方におけるウクライナ軍の重要な拠点となっていました。2022年2月21日、ロシアのプーチン大統領がドネツク人民共和国の独立を承認したことをきっかけに、ドンバス地域で再び戦闘が激化しました。数日後のロシアによるウクライナ侵攻開始とともに、アウディーイウカは最初の攻撃目標の一つとなりました。

戦闘の経過

戦闘初期（2022年2月20日 - 24日）

2月20日、親ロシア派部隊がアウディーイウカで戦闘を再開し、一時的に市内に侵入しましたが、ウクライナ軍によって撃退されました。2月21日には、ロシア軍が分離主義勢力を支援しているとの報道がありましたが、ロシア政府はこれを否定しました。

ロシアの参戦（2022年2月24日 – 2023年9月）

2月24日、ロシアがウクライナへの侵攻を正式に開始すると、アウディーイウカは主要な攻撃目標の一つとなりました。3月には、ロシア軍がアウディーイウカのコークス工場を爆撃し、多数の死傷者が出ました。4月には、ロシア軍が激しい砲撃と攻撃を再開し、多くの住民が地下室に避難することを余儀なくされました。また、燃料気化爆弾も使用されました。

7月下旬以降、ロシア軍はアウディーイウカの包囲を強め、8月には南のピスキーを制圧しました。12月には、ロシア軍の攻撃の焦点がドネツク州に絞られ、特にアウディーイウカとバフムートが標的となっているとウクライナ軍は分析しました。ウクライナ軍は、アウディーイウカ周辺で砲撃やロケット弾による攻撃が激化していると発表しました。2023年3月1日時点で、ウクライナ軍は市街地にロシア軍を侵入させることなく防衛に成功していました。

戦闘の本格化（2023年10月 - 2024年1月）

2023年10月10日以降、ロシア軍は侵攻開始以来、最も激しい攻撃をアウディーイウカに集中させました。ウクライナ軍は数十回に及ぶ攻撃を撃退しましたが、ロシア軍の損害も大きく、10月21日には、ロシア兵の戦死者が過去1週間で5000-6000人に達したとの試算が発表されました。アメリカの国家安全保障会議は、ロシア軍の兵士の訓練不足や装備不足を指摘し、前線からの退却を試みる兵士を処刑していると非難しました。

1月中旬以降、ロシア軍は攻撃方向を転換し、1月20日には南部防衛線を突破し、市内に侵入を開始しました。

ウクライナ軍の撤退（2024年2月）

2月に入ると、ロシア軍は北部戦線も突破し、市内の制圧地域を拡大しました。2月15日、ウクライナ軍は市内で激しい戦闘が継続しており、部隊が部分的に撤退していることを認めました。ウクライナ軍は反撃を試みましたが、ロシア軍の勢いは止まりませんでした。2月17日、ロシア軍はアウディーイウカを包囲し、ウクライナ軍は撤退を命じられました。これにより、ロシア軍はアウディーイウカを占領し、2014年以降、ウクライナ軍が築き上げてきたドンバス最大の軍事要塞は陥落しました。

死傷者

アウディーイウカの戦いでは、多くの民間人が犠牲となりました。侵攻開始以降、市内の民間人の死傷者は50人を超え、砲撃により、住民が命を落とし、多数の負傷者が出ました。また、コークス工場への攻撃では、多数の労働者が死傷しました。撤退時には多くのウクライナ兵が負傷し、取り残されてロシア軍の捕虜となりました。

戦いの影響

アウディーイウカの陥落は、ウクライナ軍にとって大きな痛手となりました。同市はウクライナ軍の重要な拠点であり、ロシア軍による占領は、今後の戦況に大きな影響を与える可能性があります。また、長期間にわたる戦闘により、市街地は大きな被害を受け、住民は避難生活を余儀なくされています。

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