ドネツィク州

ドネツィク州について

ドネツィク州（ウクライナ語: Донецька область）は、ウクライナの東南部に位置する州で、州都はドネツィクです。しかし、分離主義者による行政支配が続いているため、州の行政機能は一時的にマリウポリ、後にクラマトルスクに移されています。2022年9月にはロシアがこの地域の併合を一方的に宣言しました。

地理

ドネツィク州は、ドネツィク高地とアゾフ海低地、さらに一部はドニプロ低地にまたがって広がっており、東はルハーンシク州とロストフ州、西はザポリージャ州とドニプロペトロウシク州、北はハルキウ州、南はアゾフ海に接しています。おおよそ300メートルの高地があり、河川や谷に刻まれた地形が特徴的です。気候は大陸性で、特に冬は寒く、夏は比較的温暖です。

資源が豊富で、特に石炭（約250億トン）、岩塩、石灰岩、耐火粘土などが採掘されています。主な採掘地域としては、ドネツィク石炭地区やスラヴャンスク岩塩地区などが挙げられます。

歴史

ドネツィク州の歴史は、紀元前の遊牧民の時代から始まります。スキタイやサルマタイ、フン族といった遊牧民がこの地域に住んでいました。15世紀にはモスクワ大公国やクリミア・ハン国との国境地帯となりますが、17世紀以降はウクライナ・コサックによる植民地化が進みました。その後、1774年から1917年までロシア帝国の一部として、重工業地域に発展しました。

1917年から1919年の間にはウクライナ内戦が勃発し、その後はウクライナ社会主義ソビエト共和国の一部となります。1932年にはドネツク州が正式に設置され、1941年から1943年にはナチス・ドイツに占領されましたが、1943年に赤軍によって奪還されました。

1991年のウクライナ独立以降、ドネツィク州は新たな歴史を歩み始めますが、2014年には親ロシア派による州庁舎占拠が行われ、「ドネツク人民共和国」の樹立が宣言されます。これに伴い、行政機能は何度も移転を余儀なくされ、2022年にはロシアによる併合が行われました。

文化と観光

豊かな歴史がある一方で、ドネツィク州は重工業地域であったため、文化的な観光スポットは少ないのが現実です。しかし、20世紀の大作曲家プロコフィエフはドネツィク州出身であり、彼の名を冠した空港も存在していました。現在も町や村には独自の文化や歴史を訪ねる価値がある場所が点在しています。

まとめ

ドネツィク州は、その複雑な歴史と豊富な資源を持つウクライナの重要な地域です。現在も多くの課題を抱えていますが、その土地の特徴や文化を理解することは、私たちにとって大切なことです。

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