アウトフォクシーズ

『アウトフォクシーズ』は、1995年 3月にナムコからリリースされたアーケード用対戦アクションゲームです。使用された基板は、同社の『マッハブレイカーズ』にも採用されたNB-2です。タイトル画面には「©1994 NAMCO LTD.」と表示されていますが、これは開発やロケーションテストが前年の1994年に行われたことに由来します。

残念ながら、本作の他機種への移植は現在まで実現していません。過去にはPlayStation版の発売が企画されましたが、後にキャンセルされています。

ストーリー

物語は「アクメ氏」と名乗る正体不明の人物の指令によって始まります。その指示を受けた凄腕の殺し屋7人により、世界的に名高い美術鑑定家7人が次々と殺害されました。しかしアクメ氏はそれで終わらせず、今度は殺し屋たちそれぞれに、巨額の報酬と引き換えに他の6人を暗殺するよう命じます。報酬と自身のプライドを懸け、殺し屋たちは命がけのバトルロイヤルへと身を投じます。

ゲームシステム

プレイヤーは、依頼を受けた個性豊かな殺し屋7人の中から1人を選択し、他の6人を次々と倒していくのがゲームの目的です。プレイヤーキャラクターは、人間5名、双子の子供1組、そして猿1匹というユニークな構成です。

相手の体力ゲージをゼロにするか、制限時間終了時により多くの体力が残っている方が勝者となります。素手での攻撃も可能ですが、その威力は極めて低いため、ステージ上に配置された様々な武器を効果的に活用することが勝利への鍵となります。武器はダメージを受けると手放してしまいます。

各ステージには独自の仕掛けや危険なトラップが多数存在し、これらを把握し、警戒しながら戦う必要があります。時間経過や特定のオブジェクトの破壊により、ステージの地形が大きく変化することもあります。一般的な対戦格闘ゲームと同様に、CPU戦をプレイ中に他のプレイヤーがコインを投入してスタートボタンを押すことで、乱入対戦が可能です。ただし、対戦時には相手プレイヤーと同じキャラクターを選択することはできないため、同キャラクター同士の対戦は存在しません。

登場人物

プレイヤーキャラクター

ジョン・スミス (John Smith)
ベビーシッターから革命指導者まで、報酬のためなら仕事を選ばない男。広島で生まれ、禅の奥義を修得した在日占領軍士官の息子。隻眼で、赤いダルマがプリントされたTシャツを着用。能力に突出した点は無いが、全ての行動をそつなくこなす初心者向けのキャラクター。ライバルを倒すと、モニターに「DONE」と書かれた札を貼る。
ベッティ・ドー (Betty Doe)
「20世紀最も成功した女性実業家」の一人。貧困から這い上がり、他人の血に塗れた手で巨万の富を築いた。動作が非常に素早く、射撃の精度は他の追随を許さない。反面、ジャンプ力や移動速度はやや劣る。ライバルを倒すと、律儀にモニターの電源を切る。
バーナード・ホワイト (Bernard White)
元CIAエージェント。人間以外の殺生を嫌う一方、人間を殺すことに抵抗がない危険人物。素手による大量殺人の世界記録保持者。スキンヘッドで、片腕が義手の巨漢。体が大きく標的になりやすいが、高い耐久力を持つ。義手による素手攻撃力が非常に高く、銃器の弾道も安定している。ただし体格故に姿勢の低い相手への攻撃は位置取りに注意が必要。ライバルを倒すと、義手でモニターを粉砕する。
イヴ (Eve)
ポルノ女優から盗賊、そして殺し屋へと転身。パンクファッションで、トカゲを連れている。移動速度とジャンプ力が高いが、操作レスポンスはやや劣る。背中のトカゲは敵弾を一度だけ防ぐバリアーとなり、落下後はグレネードに着火して持ち歩く。イヴの元に戻ると再び背中に乗る。ライバルを倒すと、モニターを銃撃する。
プロフェッサ・チン (Professor Ching)
第二次大戦中に「東洋のアインシュタイン」と呼ばれた天才博士。長年の中国拳法で健康を維持する82歳。暗殺任務のために設計・開発した合金製車椅子で戦う。車椅子は背後からの銃弾を防ぎ、直線走行が最速。ロケットランチャーの弾道も安定する。急停止が苦手で小回りが利かない難点がある。本人も達人だが、老体のため射撃や投擲の腕は劣る。ライバルを倒すと、モニターをハッキングし「DISPOSED」と入力する。
ドゥイーブ (Dweeb)
バナナのために人を殺す、タキシード姿の猿の殺し屋。あらゆる武器を扱い、金勘定もできる。体が小さく攻撃を受けにくい上に、移動速度とジャンプ力も高い。射撃は極めて下手だが、逆にそれを活かした戦法も可能。ダメージ耐久力は低い。ライバルを倒すと、モニターのチャンネルを子供向け番組に切り替える。
ダニー & デミ (Danny & Demi)
実験室で育てられた双子の子供。銃やナイフを「おもちゃ」として戦争ごっこを好む。男の子がダニー、女の子がデミ。全般的に能力が低いが、使用中とは別に武器を1つストックできる。子供故に身長が低く、当たり判定が小さい利点もある。優勢時にダッシュすると笑う。ライバルを倒すと、モニターに緑のクレヨンで落書きをする。

最終ボス

ミスター・アクメ (Mr. Acme)
今回の事件の黒幕である裕福な美術商。妻のアクメ夫人（肥満体の中年女性）と共に行動しており、夫人が主導権を握っている。美術商としては表向き有名だが、裏では贋作を捌いて巨額の利益を得ている。鑑定家と共謀して贋作を売却した後、口封じのために殺し屋を雇って鑑定家を殺害。さらに殺し屋同士を戦わせ、生き残った最後の一人を自邸に呼び寄せ罠にはめて始末し、全ての証拠を隠滅しようと企てた。ゲーム中ではCPU専用の最終ボスとして登場。アクメ夫妻の体力ゲージは特定の段階まで減らず、タイムアップまでにヘリコプターを破壊できないとプレイヤーは死亡確定となる。撃破すると、アクメ氏が落下し、そこに夫人が落下して潰れ、最後にヘリコプターが落ちてきて夫婦共々圧死する。アクメ夫妻を倒した殺し屋は莫大な報酬を得てハッピーエンドとなる。殺し屋が敗北した場合は、シルエットで大笑いするアクメ氏が映し出され、バッドエンドとなる。

ステージ

CPU戦では対戦相手に対応したステージで戦い、対戦モードでは豪邸を除く7ステージからランダムに選択されます。

ビル
屋上から始まり、時間経過でヘリコプターが爆発し床が崩落。戦場が階下へ移動する変化に富んだステージ。落下するヘリに潰されるダメージは地形トラップ中で最大。食べ物（パイ、スープ、フルーツバスケット）が武器になる。
水族館
広大で遮蔽物が少ないステージ。射撃精度の高いキャラに有利。水槽に落ちると動きが鈍り、サメやピラニアに噛まれるとダメージ。時間経過で中央の鯨模型が落下し浸水、サメやピラニアが解放され行動範囲が狭まる。
列車
横に長く高さが低いステージ。武器配置が偏っており、落下時の復活位置が固定されているため位置取りが重要。後半のトンネル内は狭く、屋根に頭をぶつけるとダメージ。
サーカス
トランポリン、空中ブランコ、猛獣などの仕掛けが多い。猛獣（虎、象）に攻撃されるとダメージ。虎は倒せるが象は倒せない。終盤の人間大砲はロケットランチャーを凌ぐ破壊力を持つ（弾数制限あり）。拳銃に偽物（旗や水が出る）が混ざっている。
兵器工場
床の大半がベルトコンベア。プレス機や溶鉱炉アームなどダメージトラップが多い。地形変化は無い。ベルトコンベアで流れる部品は終点で完成し、ミサイル（爆発する投擲武器）や銃（複数個木箱入り）に変化する。
飛行機
軍需物資を積んだ輸送機内部。狭く複雑に入り組んでいる。操縦席でステージ全体の傾きを操作可能。機銃座を武器として使える（弾数無限だがオーバーヒートあり）。後半は操縦席が落雷で破壊され、傾斜がきつくなる。落下時はヘリにつかまって復帰。
クルーザー
狭く複雑で常に揺れている。左右が開けており、武器が次々流れ着く。画面上の武器が5つまでという制限があり、海に捨てて武器を入れ替える戦法が有効。
豪邸
CPU戦の最終ステージ限定。アクメ氏の邸宅。侵入者を阻む警備システムを突破しながらアクメ夫妻を追う。最終的には屋上でヘリコプターに乗った夫妻をスペシャルロケットで破壊する必要がある。

武器

ガン: オートマチック拳銃。装弾数7発。タイミング次第で連続ヒットし高威力。弾切れ後は投擲武器にもなる。
マシンガン: 装弾数80発。単発威力は低いが、追い詰めて連続ヒットを狙える。レバー操作で弾幕を張ることも可能。
グレネード: 手榴弾。ピンを抜くとカウントが表示され約3秒後に爆発。爆風は自分も巻き込む。
ロケットランチャー: 装弾数3発。反動が大きいがダメージは絶大。爆風にも注意。最終ステージのスペシャルロケットは装弾数無限。
ソード: 日本刀。障害物越しや床越しに突ける。攻撃ボタン長押しで弾を防げるが、防ぎすぎると折れる。
ウィップ: 鞭。攻撃力は低いが消耗せず、ソードよりリーチが長い。銃弾を叩き落とすことも可能。耐久力は無限だが、鞭で攻撃された相手の無敵時間は長め。
火炎放射器: 敵を炎上させ悶絶させる。炎上した敵に触れると引火。床にも着火して足止めに使える。弾道はブレずに常にまっすぐ。
木箱: 武器やサメなどが入っているが投擲武器としても使用可能。投げ当てると敵は目隠し状態になる。床を滑らせて投げることも可能。

その他、各ステージ固有のオブジェクトが武器として利用できる場合もあります。

アウトフォクシーズ