アエロフロート航空217便墜落事故

アエロフロート航空217便墜落事故

1972年10月13日、モスクワのシェレメーチェボ国際空港近郊で、アエロフロート航空217便が墜落し、乗客164名と乗員10名、合わせて174名全員が死亡するという痛ましい事故が発生しました。

事故の経緯

アエロフロート217便は、パリのオルリー空港を出発し、レニングラード（現在のサンクトペテルブルク）のショセナヤ空港（現在のプルコヴォ空港）を経由して、モスクワのシェレメーチェボ国際空港へ向かう予定の非定期旅客便でした。

事故当日、217便はイリューシンIl-62型機で運航され、乗客164名と乗員10名が搭乗していました。レニングラードを20時59分に離陸した後、シェレメーチェボ空港へ向かいましたが、当時の空港周辺の天候は曇りで、雲底高度は100メートル、霞と濃霧により視程は約1.5キロメートルという状況でした。風は穏やかで、タービュランスは報告されていませんでした。

シェレメーチェボ空港への進入中、217便は高度1,200メートルに達した際に、一旦降下率を緩めたことを管制に報告しました。その後、管制からの指示で高度400メートルまで降下を開始しましたが、場周経路に入った後も降下を継続し、高度400メートル以下になっても降下を続け、対気速度は620km/hまで増速しました。高揚力装置を展開したり、降着装置を下ろすこともないまま、巡航飛行の形態を維持した状態で、空港の北側約11キロメートルの地点に墜落しました。

この事故により、搭乗していた174名全員が死亡しました。犠牲者の国籍は、ロシア人が118名、チリ人が38名、アルジェリア人が6名、東ドイツ人とオーストラリア人が各1名でした。この事故は、1973年にカノ航空惨事が起きるまで、世界で最も悲惨な航空事故でした。

事故原因

墜落の原因は、事故調査報告書において、乗員が何らかの理由で心神喪失状態に陥った可能性が指摘されていますが、明確には特定されていません。

この事故は、航空安全における多くの教訓を残し、その後の航空機の安全基準や運航手順の見直しに大きな影響を与えました。

この悲劇を二度と繰り返さないために、航空業界は常に安全性の向上に努めています。

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