対気速度

対気速度について

対気速度（たいきそくど、英: Airspeed）とは、航空機が大気中を移動する際の速度を示す指標であり、外部環境に対する相対速度を計測したものです。航空機が地面から離れて飛行する際、この相対速度は特に重要であり、航空機の性能や安全な飛行に影響を与えます。

対気速度の測定方法

対気速度の測定は、主にピトー管と静圧孔を使用して行われます。ピトー管が捉える全圧（Pt）と静圧孔から得られる静圧（Ps）の二つの値を基に、ベルヌーイの定理を用いて計算します。この定理は流体力学の基本原理であり、全圧と静圧の関係を示しています。計算式は以下のようになります。

$$
P_t = \frac{1}{2} \rho v^2 + P_s
$$

ここから、対気速度（v）は次のように導出されます：

$$
v = \sqrt{\frac{2(P_t - P_s)}{\rho}}
$$

この式により、全圧と静圧の差（動圧）から対気速度を算出することができます。

対気速度の種類

対気速度にはいくつかの種類があり、代表的なものには以下が含まれます。

1. 指示対気速度（IAS）

指示対気速度は、測定された全圧と静圧から計算される対気速度ですが、空気密度の変化を考慮していないため、実際の速度とは異なる場合があります。通常、標準状態の空気密度を基に計測されています。

2. 較正対気速度（CAS）

位置誤差や計器誤差を考慮して補正した値が較正対気速度です。これにより、より正確な飛行中の速度を知ることができます。

3. 等価対気速度（EAS）

抑圧的な環境下（高高度や高速）でも適切に対気速度を算出するためには、等価対気速度が役立ちます。これは、圧縮性誤差を含めた補正を行った速度です。

4. 真対気速度（TAS）

真対気速度は、EASに空気密度の補正を加えたもので、最終的な対地速度を得るために必要な情報です。

5. マックナンバー（マッハ数）

対気速度を音速の倍数として示す指標で、特に高速飛行時の重要性が増します。

対気速度の運用

航空機の性能において対気速度は極めて重要です。特に動圧が小さい状況では、適切な対気速度を維持することで、安全な飛行が保証されます。実際の操縦においては、対気速度の種類によって使用を使い分ける必要があります。特に、航法上の問題で対地速度が重要な場合は、真対気速度（TAS）を用います。標準大気の条件下であれば、TASとEASはほぼ同等となりますが、異なる条件では補正が必要です。

また、航空法によって設定された速度制限や交通管制による指示は、主に指示対気速度（IAS）によって行われますが、高高度での操作ではマックナンバーを考慮する必要があります。

このような多様なおよび専門的な対気速度の概念は、航空機の安全運航や性能維持を支える重要な要素でもあります。

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