アエロフロート航空411便墜落事故

アエロフロート航空411便墜落事故

概要

アエロフロート航空411便の墜落事故は、1982年7月6日の未明に発生しました。この事故では、モスクワからダカールを経由してフリータウンに向かっていたイリューシンIl-62Mが、離陸後すぐにエンジンの一部を失い墜落し、乗客と乗員合わせて90名全員が死亡するという悲劇的な結果となりました。

事故機の情報

事故で使用された機体は、イリューシンIl-62Mで、登録番号はSSSR-86513でした。この機体は1980年11月に初飛行を行い、当該事故発生時点での飛行時間は4800時間をわずかに超えていました。

事故の詳細

411便は午前12時33分にシェレメーチエヴォ国際空港から離陸しました。この時、乗客80名と乗員10名が搭乗していました。離陸から数秒後に、第1エンジンの火災警報が作動し、乗務員は応急処置としてそのエンジンを停止しました。その後、さらに1分と経たずして第2エンジンにも火災警報が出され、乗務員は同様にこのエンジンも停止させました。

しかし、機長は機体を旋回してシェレメーチエヴォ国際空港に戻ろうとしましたが、機体はすでに高度160メートル、速度は320km/hにしか達していなかったのです。パイロットは機体の維持に尽力しましたが、次第に速度と高度を喪失し、最終的には高度75メートルで失速しました。そして、411便は離陸からわずか3分後、メンデレーヴォの東1.5キロメートル、空港から北西に11.4キロメートルの地点で墜落しました。

調査と原因

事故後の調査では、エンジンに関して著しい損傷や火災の痕跡は確認されず、火災警報は誤報であったことが判明しました。ただし、この火災警報システム自体は墜落の衝撃で完全に破壊され、誤報の具体的な原因は特定できませんでした。また、1975年から1982年の間に同様のエンジン火災の誤報が9件報告されていましたが、今回はこの要因が除外されました。

調査の結果、離陸用フラップを設定した状態で、重量164,514キログラムに近い機体がエンジン2基のみで高度を保つことは元々不可能であることが示されました。パイロットに過失は見当たらず、事故当時は市街地上空を飛行していたため、不時着することは難しい状況だったのです。さらに、パイロットは十分にフライトマニュアルに従っていましたが、そのマニュアルには411便の具体的な事例に対する手順が存在していなかったのです。

このように、アエロフロート航空411便墜落事故は、技術的な問題と環境条件が重なった結果として発生しました。この事故は航空業界における安全基準の見直しや、今後のフライト運用における学びの一例としても重く受け止められています。

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