アエロフロート2230便墜落事故

アエロフロート2230便墜落事故

1967年11月16日、コルツォヴォ国際空港を離陸し、タシュケント国際空港へ向かう予定だったアエロフロート2230便（イリューシンIl-18V型機）が、離陸直後に墜落するという痛ましい事故が発生しました。この事故により、乗員乗客合わせて107名全員が死亡するという、当時のソ連における航空事故史上最悪の惨事となりました。また、イリューシンIl-18型機が関与した事故としても、最悪の事例の一つとして記録されています。

事故機について

事故を起こしたイリューシンIl-18V型機（登録記号：CCCP-75538）は、製造番号184007002として製造され、1964年に初めての飛行を行いました。機体にはイーウチェンコAI-20Kエンジンが搭載されており、事故発生時までに総飛行時間5,326時間、総飛行サイクル2,111回を記録していました。

事故発生時の状況

事故当時、コルツォヴォ国際空港周辺は、高度150～170mの高さに層状の雲が広がり、視界は約6kmの状態でした。アエロフロート2230便は、76度の方向へ向けて離陸を開始しました。現地時間21時02分40秒、同便は空港の管制官に離陸を報告しました。離陸後、2230便は時速340～350km/hで滑走路端から1,900m（離陸開始地点から4,300m）の地点において、高度140～150mに到達しましたが、直後に突然右へと急旋回し、そのまま地面に向かって急降下しました。機体は、対気速度400km/h、垂直速度20m/sで、約37度右に傾いた状態で滑走路端から2,900mの地点の耕作地に右翼から激突し、墜落しました。

機体の残骸は未舗装の道路を横切り、320mの範囲に散乱しました。この事故により、搭乗していた乗員乗客107名全員が帰らぬ人となりました。

事故原因の調査

事故後、徹底的な調査が行われましたが、機体のすべてのユニットとアセンブリが完全に破壊されていたため、事故の直接的な原因を特定するには至りませんでした。しかし、事故調査委員会は、以下の2つの可能性を指摘しています。

1. 第4エンジンのシステム故障: 機体の最も右側に位置する第4エンジンのシステムに故障が発生し、一時的に逆噴射状態になった可能性。
2. Put-1Mディレクターの計器の不具合: Put-1Mディレクターという計器のシステム要素に不具合が生じ、姿勢指示器が誤った情報を表示した可能性。

これらのいずれかの要因が、他の要因と複合的に組み合わさった結果、今回のような大惨事につながった可能性が示唆されています。しかし、確たる証拠がないため、事故原因は「不明」として結論付けられました。

この事故は、航空機の安全対策における課題を浮き彫りにし、その後の航空安全基準の改善に影響を与えました。犠牲者の方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

もう一度検索