アエロリット

アエロリット：隕石のごとく駆け抜けた競走馬の生涯

2014年5月17日生まれの競走馬、アエロリット。「隕石」を意味するフランス語の名前を持つ彼女は、日本の競馬史にその名を刻む名牝として記憶されています。2017年のNHKマイルカップ優勝という輝かしい実績を筆頭に、数々の重賞レースでその実力をいかんなく発揮しました。

デビューは2歳(2016年)の6月。東京競馬場の新馬戦で堂々の勝利を収め、競馬ファンの注目を集めます。続くサフラン賞では惜しくも2着。その後もフェアリーステークスやクイーンカップでは2着と、勝利こそ逃すものの、着実に力を付けていく様子がうかがえました。

3歳(2017年)の春、GI初挑戦となった桜花賞では5着と結果を残せませんでしたが、続くNHKマイルカップで見事GI初制覇。管理する菊沢隆徳調教師にとっても初のGI勝利となりました。この勝利は、アエロリットの潜在能力の高さを証明するものでした。

夏には札幌のクイーンステークスで重賞2勝目を挙げます。スタートから先頭に立ち、後続を大きく引き離しての圧勝劇。GI馬アドマイヤリードを相手に、見事な逃げ切り勝ちを収めました。

秋華賞では1番人気に推されましたが、7着と掲示板にすら載ることができませんでした。菊沢調教師は重馬場を敗因として挙げ、彼女の能力の高さを改めて示唆しました。

4歳(2018年)になると、中山記念で2着、ヴィクトリアマイルで4着と好走を続けます。安田記念では2着。レース後に判明した落鉄が惜敗の要因と分析されました。しかし、この年の毎日王冠では逃げ切り勝ち。その後、マイルチャンピオンシップでは12着と結果を残せませんでしたが、右回りのコースが原因ではないかと指摘されています。

5歳([2019年]])には、ペガサスワールドカップターフ]に挑戦。9着という結果に終わりましたが、その後も国内のレースで活躍を続けます。[[ヴィクトリアマイルでは、驚異的なハイペースでレースをリード。レコード決着に貢献する一方、5着に終わりました。

安田記念では、アーモンドアイ、ダノンプレミアムら強豪を相手に2着。このレースでもレコードタイの決着に貢献しました。その後、毎日王冠では2着、天皇賞（秋）では3着と、常に上位に食い込む活躍を見せました。引退レースとなった有馬記念では14着と結果を残せませんでしたが、最後までその闘争心を示しました。

アエロリットの特徴は、4歳以降に顕著になった逃げの戦法です。緩まないペースでレースを進め、直線でも粘り強く走り切る展開を得意としていました。2019年の5レース中、2回はレコード決着、さらに2回はレコードに迫るタイムでした。後続に並びかけられてからも勝負根性を発揮する場面も多く見られました。

その類まれな能力は、同世代のキセキと比較されるほど。野田慶一郎氏は『競馬エイト』において、1800～2000メートルカテゴリーではキセキの強化版と言っても過言ではないと評しました。

日本国内での総獲得賞金は4億5917万8000円に達し、クロフネ産駒としては上位にランクインする実績を残しました。

血統背景にも優れたものがあり、近親にはミッキーアイル、ラッキーライラック、ハーツクライ、ノンコノユメといった名馬が名を連ねています。

アエロリットは、2019年12月27日付で競走馬登録を抹消、繁殖牝馬として新たな道を歩み始めました。その華麗な走り、そして強い意志は、多くの競馬ファンに感動と記憶として刻まれています。その生涯は、競走馬としての成功だけでなく、日本の競馬界に大きな足跡を残した証です。

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