アオスジアゲハ

アオスジアゲハについて

アオスジアゲハ（青条揚羽、学名: Graphium sarpedon）は、アゲハチョウ科アオスジアゲハ属に属する蝶で、特に都市周辺や公園、街路樹、さらには照葉樹林などでよく見かけられる種類です。また、クロタイマイとも呼ばれることがあります。

形態と生態

アオスジアゲハの成虫は、前翅長が約25-45mmで、特徴的な黒い翅には青緑色の帯があり、この帯は鱗粉を持たず、光に透けて見える鮮やかな色合いをしています。時折、青帯が欠如した変異個体も見られます。雌と雄は外見が非常に似ているため、性別を見分けるには生殖器を見るのが確実です。

成虫は5月から10月にかけて出現し、年に3回から4回発生します。飛翔力が高く、樹木や花の周囲を素早く飛び回る姿が観察できます。特に雄は初夏から夏にかけて水辺で水を吸う群れを作ることが多いです。興味深いことに、他のアゲハチョウとは異なり、アオスジアゲハは通常、静止時に翅を閉じた状態で止まることが多いですが、時には翅を開いて止まることもあります。

幼虫はクスノキ科の植物、特にクスノキやタブノキ、シロダモ、ヤブニッケイの葉を食べて育ちます。蛹はこれらの葉に似ている形状をしており、一般的なアゲハチョウとは違い、木の幹ではなく葉の上で蛹を形成します。また、越冬する際は蛹の状態で越冬します。

分布

アオスジアゲハは東アジアや東南アジア、さらにはオーストラリア北部に広く分布し、約15の亜種に分類されています。日本では、G. s. nipponumという亜種が本州以南に生息しており、南方起源の蝶であるため、本州中部以北ではそれほど多くは見られず、東北地方南部あたりが北限となっています。北海道には生息していません。この亜種は日本のほか、朝鮮半島にも分布しています。

アオスジアゲハ属（学名: Graphium）は主に東南アジアに分布しており、いくつかの亜属に分かれています。アオスジアゲハ自身は、Graphium亜属に分類され、この仲間にはタイワンタイマイやミカドアゲハなども含まれます。

結論

アオスジアゲハはその美しい外見と多様な生態から、多くの人々に親しまれている昆虫です。その生息地は都市部や自然豊かな場所など多岐にわたり、日本国内でも観察することができます。特に、その独特な飛び方や翅の状態、さらには幼虫の食草など、興味深い生態は蝶好きにとって魅力の一つと言えるでしょう。

もう一度検索