アカアシガメ

アカアシガメ (Chelonoidis carbonarius) について

アカアシガメは、リクガメ科ナンベイリクガメ属に所属する亀で、この属の典型的な種として知られています。主に南米の湿ったサバンナや森林の周辺に自生しており、特に花や果実を好む食性が特徴です。

分布

アカアシガメは、アルゼンチン北部やコロンビア、ブラジルを含む南アメリカ各地に広く分布しています。具体的には、ガイアナ、スリナム、トリニダード・トバゴ、パナマ南東部、パラグアイ、仏領ギアナ、ベネズエラ、ボリビア西部などがその生息地です。また、アメリカ合衆国のセント・クロイ島やプエルトリコ、ジャマイカ、ドミニカ共和国、ハイチ、小アンティル諸島などにも移入されています。小アンティル諸島で発見された化石は、この亀がかつてそこでも生息していたことを示唆しています。

形態

アカアシガメの最大甲長は約51センチメートルで、背甲はドーム状に盛り上がっています。全貌はヒョウタンのように見え、黒や暗褐色の背甲に初生甲板やその周辺部分は黄、橙色を帯びています。種小名「carbonaria」は「黒っぽい」の意を持ち、この背甲の色に由来しています。頭部は小さめで、特徴として額板が大きく、色彩は褐色や暗褐色に赤や橙色の斑が見られます。

この亀には、北部やブラジル東部、ボリビア、アルゼンチンといった4つの個体群があり、それぞれの地域での特徴が異なります。特に北部個体群は多く小型で、背甲の色は黒や暗褐色が主ですが、その他の個体群はより大きく、色彩や斑紋にも変化があります。

生態

アカアシガメはやや湿度の高い環境を好み、特にサバンナや森林の境界に生息していることが多いです。同じ地域に生息しているキアシガメとは共存しないため、熱帯雨林でも見られることがあります。食性としては、花や果実を主に食べ、また木の葉や樹皮など幅広い植物や小動物も取り入れる柔軟さを持っています。特に乾季は花を好み、雨季になると果実を多く摂取します。

繁殖

アカアシガメは卵生で、コロンビア地域では6月から9月にかけて産卵しますが、ブラジル中部では年間を通じて卵を産むこともあります。一度の産卵で2から7個の卵を数回に分けて生むことが多く、卵は約140日から150日で孵化します。

人間との関係

アカアシガメは生息地によっては食用にもされることがありますが、環境の変化や乱獲によって数を減少させています。特にパラグアイやブラジルでは法的に採集が厳しく制限されており、1975年にはワシントン条約にも登録されています。現在の流通は主に飼育下繁殖個体が中心であり、日本への輸入も行われています。アメリカ合衆国経由で流通する際には、地域によっては別の個体群とも混合されているため、見分けることが難しい場合もあります。

このように、アカアシガメは多様な生態系に適応しながらも、人間の影響を受けやすい種であるため、保護の必要性が高いといえます。

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