アカササノハベラ

アカササノハベラ （Pseudolabrus eoethinus）

アカササノハベラはスズキ目に属し、海水に生息する魚で、ベラ科に属しています。日本で「ササノハベラ」と呼ばれる種の一つでしたが、1997年にホシササノハベラと分けられ、それ以降アカササノハベラという名称が正式に認められました。この際、混乱を避けるために「ササノハベラ」という標準名称は使用されず、新たにアカササノハベラが命名されました。

特徴

アカササノハベラのサイズは最大で約20 cmに達し、雄は背鰭の色彩が黄色で、白色の斑点はなく、胸鰭の根元には黒い点があります。これにより、ホシササノハベラとの見分けが可能です。一方、雌は背の部分に白斑がない点や、眼の下のラインが胸鰭の根元で止まることで、同じくホシササノハベラの雌と区別できます。また、アカササノハベラは第1背鰭棘、第3臀鰭棘、腹鰭棘が若干長い特徴もあります。

分布と生態

この魚は日本各地に広がっており、千葉県の館山湾から南九州にかけて、および福井県や京都府、長崎県、熊本県、八丈島および屋久島でも見られます。特にホシササノハベラがいない小笠原諸島や沖縄本島にも生息していますが、沖縄では比較的まれな種とされています。国外では、韓国の済州島、台湾、中国沿岸、香港に分布しています。

アカササノハベラは、やや沖合の岩礁に生息し、水深30m以浅の環境を好む傾向にあります。通常は一匹の雄と複数の雌が集まる群れで生活し、11月から12月にかけて産卵が行われます。また、主な食物は甲殻類や軟体動物であり、これらを捕食して生活しています。

記載とシノニム、別名

アカササノハベラの型標本は1846年に中国広東で確認され、Richardsonによって初めて記載されました。その後、同年の研究においてTemminckとSchlegelが記載した別名のLabrus rubiginosusは、実際にはPseudolabrus eoethinusの異名とされています。長らく使用されていたLabrus japonicusという名前は、日本産の個体から新種として記載されたにもかかわらず、ベラ科の他のどの魚とも一致しない形質を持っています。

地域によって異なる名称が存在し、アカベラ（熊本や三崎）、アブラコ（敦賀）、エベスベラ（和歌浦）、ゴマンジヨウ（紀州）など、ササノハベラ類の総称として用いられることも多いです。

ヒトとの関わり

アカササノハベラは、磯釣りなどで捕獲されることがあります。その肉質はやわらかいですが、ベラ類の中でも特に味が良いと評判です。美味な魚として、料理や食卓を彩ります。自身の特徴的な外観と生態から、観賞用としての価値も高い魚と言えるでしょう。

結論

アカササノハベラはその独特な美しさと食用としての価値から、淡水域ではなく安定した生息環境を必要とする魅力的な魚です。今後もその生態に注目し、保護と利用を進めていくことが求められます。

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