アカザ (魚)

アカザ（赤佐）について

アカザはナマズ目アカザ科に属する魚で、和名はその棘条が持つ毒性から転じて名付けられたと言われています。この魚は、他にもアカネコやアカナマズという名称で親しまれており、日本では秋田県から九州にかけての水域に生息する固有種です。特に九州では、大分県の大分川水系や宮崎県と鹿児島県の境を流れる川内川まで生息範囲が広がっています。

形態の特徴

アカザはナマズの仲間の中で比較的小型の魚で、成長しても通常は10センチメートル程度にしかなりません。体型は円筒形をしており、英語では「Loach catfish」として知られています。体色は赤みがかることが多いですが、地域によって差異が見られます。

また、アカザはその独特な外見から他の魚種、特にギギやギバチに似ている部分もありますが、識別は容易です。アカザの特徴として、小さな頭部や肩の部分までしか伸びない側線があります。この魚の口ひげは上顎に2対、下顎に2対の計8本あり、胸鰭と背鰭にはそれぞれ1本ずつの毒棘が存在します。これらの毒棘は鋭く、刺されると非常に痛みを伴います。背鰭の後部には脂鰭が見られ、その基底は長めで尾鰭と連結しているのが特徴です。尾鰭は丸く、扇形に広がっています。

生態について

アカザは水温が低い河川の上流から中流、特に清澄な水底を好む傾向があります。高温に対しては非常に敏感で、周囲の水温が25度を超えると、個体が死亡することもあります。夜行性の特性を持ち、日中は水底の岩の隙間や浮き石の下に隠れて過ごします。夜や水が濁った際に活動を始め、ドジョウのように水底の様々な障害物を利用して移動します。

彼らの主な食性は肉食で、主に水生の昆虫を捕えて生活しています。産卵時には卵をゼリー状の物質で包み、ひとかたまりとして生み付ける習性があります。

保全状態

アカザは絶滅危惧II類に指定されており、その原因は河川改修や水生環境の変化、農薬の流出による水生昆虫の減少などにあります。これにより生息域が減少し、個体数も危機的な状態にあるのです。

特に東京都の秋川水系では、外来種のカジカとの競争が影響を及ぼし、食物を巡る争奪戦が指摘されています。これらの環境要因に対して、保全活動が求められる昨今の状況です。

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