アカモズ

アカモズ（赤百舌）について

アカモズ（学名: Lanius cristatus）は、スズメ目モズ科モズ属に分類される鳥類です。その特徴的な生態と分布域の広さから、様々な地域で観察されています。

分布

アカモズは、アジア広域に分布しており、繁殖地と越冬地の間を移動する渡り鳥です。具体的には、以下の地域で確認されています。

繁殖地: 中国、日本、ロシア東部、朝鮮半島など
越冬地: インド、インドネシア、東南アジアなど

日本では、亜種ごとに異なる渡りが見られます。

亜種シマアカモズ: 九州南部や南西諸島で繁殖
亜種アカモズ: 北海道、本州東部で繁殖
本州西部、四国、九州: 渡りの途中で飛来（旅鳥）
沖縄: 越冬のため飛来（冬鳥）

形態

アカモズは全長約20cmで、以下の特徴を持ちます。

過眼線: 嘴の基部から眼を通り後頭部へ続く黒い筋模様
翼: 黒い羽毛で覆われ、羽縁は褐色
雌: 体側面に鱗状の斑紋が入る個体も存在

亜種ごとに羽毛の色や模様に違いが見られます。

ウスアカモズ: 上面は灰褐色、下面は白、額の白色部はやや広い。
カラアカモズ: 上面は暗い赤褐色、下面は白、額の白色部は狭く不明瞭。
シマアカモズ: 上面は灰褐色、下面は淡褐色、額と眉斑は白色部が狭く不明瞭。
アカモズ: 上面は赤褐色、下面は白、額と眉斑は白く繋がる。

分類

アカモズは以下の亜種に分類されます。

Lanius cristatus confusus　ウスアカモズ
Lanius cristatus cristatus　カラアカモズ
Lanius cristatus lucionensis　シマアカモズ
Lanius cristatus superciliosus アカモズ

生態

アカモズは、開けた森林や林縁、草原などに生息し、モズと同所的に見られることもあります。その場合、モズの縄張りを避けるように生息します。

食性: 動物食で、昆虫類、節足動物、両生類、爬虫類、小型の鳥類、小型哺乳類などを捕食します。
狩り: 樹上から獲物に襲い掛かったり、飛翔しながら捕獲します。
はやにえ: 捕獲した獲物を木の枝などに突き刺したり、枝股に挟んで貯蔵する行動を行います。
繁殖: 樹上に枯草などを組み合わせた皿状の巣を作り、日本では5-7月に1回に4-7個の卵を産みます。カッコウの托卵対象となることもあります。抱卵はメスのみが行い、抱卵期間は14-16日です。

人間との関係

開発による生息地の破壊などにより、アカモズの生息数は減少傾向にあります。
環境省のレッドリストでは、亜種アカモズ（L. c. superciliosus）が絶滅危惧IB類（EN）に指定されています。

参考文献

『原色ワイド図鑑4　鳥』、学習研究社、1984年
黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥III』、平凡社、1986年
真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年
『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年
五百沢日丸 『日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版』、文一総合出版、2004年
高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、日本野鳥の会、2007年
安部直哉 『山渓名前図鑑 野鳥の名前』、山と渓谷社、2008年

外部リンク

IUCN Red List
BirdLife International
環境省 自然環境局 生物多様性センター
絶滅危惧種情報(動物)- アカモズ -

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