アキザキナギラン

アキザキナギラン（Cymbidium lancifolium）

概要

アキザキナギランは、ラン科シュンラン属に属し、単子葉植物の一種です。この植物は主に本州南部から南の常緑広葉樹林に自生しており、直立した茎と緑色の鮮やかな花が特長です。特に、秋に咲く淡緑色の花が観賞価値を高めています。

外見の特徴

アキザキナギランは、高さが30cmから55cm程度に成長します。茎は直立し、数枚の常緑葉が互生しています。葉は長楕円状披針形で、長さは5cmから20cmあり、薄くて革のような質感を持っています。葉の縁には鋸歯がないのが特徴です。偽球茎の下部から伸びる花茎は、通常、葉より低く、そこから総状花序に花を付けます。

花は花弁と萼片がそれぞれ2cmから2.5cmの大きさを持ち、唇弁は長さ2cmで長楕円形をしています。この唇弁の上面には紅紫色の斑点が入り、下方に優雅に曲がります。アキザキナギランの花期は10月です。

保全状況

アキザキナギランは、日本の環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類（CR）に分類されており、その生息地は厳重に保護されています。2020年までは絶滅危惧IB類に指定されていましたが、2025年3月に発表されたレッドリストでは、危険度が一段階上昇しました。また、鹿児島県では特別な条例によりこの植物の採集が禁止されています。

近縁種

アキザキナギランとよく似た植物にはナギラン（Cymbidium nagifolium）とオオナギラン（Cymbidium syunitianum）があり、それぞれ異なる特性を持っています。

ナギラン

ナギランは、アキザキナギランに似た葉を持ちながら、葉の先端近くの縁に細かい鋸歯があります。花の大きさはほぼ同じですが、色は白く、萼片は細く線状披針形です。花期は6月から7月で、5次環境省レッドリストでもVUに指定されています。こちらも鹿児島県では採集が禁止されています。

オオナギラン

オオナギランは、徳之島と沖縄島に分布し、アキザキナギランとは異なる大きさのものとして認識されていました。花は淡い黄緑色で花期は12月から1月です。初めての評価として、5次レッドリストでCRに選定され、鹿児島県の条例によって採集が禁止されています。

脚注・参考文献

アキザキナギランはその美しさだけでなく、その環境保護の重要性からも注目されています。日本の生態系を守るためには、このような貴重な植物の保護が不可欠です。以下の文献から更に情報を得ることができます。

• - 大橋広好、門田裕一、木原浩 ほか 編『日本の野生植物』 1巻（改訂新版）、平凡社、2015年。
• - 沖縄県環境部自然保護課 編「維管束植物」『沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物』2028年版。
• - 環境省 編『第5次レッドデータブック：絶滅のおそれのある日本の野生生物』2025年版。

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