シュンラン属

シュンラン属 (Cymbidium) の概要

シュンラン属は、単子葉植物に属するラン科の植物であり、多くの観賞用種を含んでいます。日本のシュンラン属の植物は、ヘツカランを除いて主に地生ランとして土壌に根を下ろして生活しています。一方、熱帯地方では着生植物として成長する種も見られます。

特徴

シュンラン属の特徴として、偽球茎は一般的に球形から楕円形であり、株に対して小ぶりです。細長い葉が多数ついており、全体的にはイネ科の草に似た印象を与えます。株立ちは、前の成長期に形成された偽球茎から出た芽で作られ、根は太くて長いのが特徴です。

花は、偽球茎の根元から伸びる花茎に穂状に形成され、あるいは一輪だけがつくこともあります。外花被は開き気味の楕円形で、側弁は蕊柱を包み込むように閉じた形状をしており、唇弁は基部で左右が蕊柱を支えるように曲がり、先端がわずかに開きます。

シュンラン属全般の受粉メカニズムは完全には理解されていませんが、中国南部原産のキンリョウヘンは特異な生態を持ち、トウヨウミツバチに似たフェロモンを分泌することで雄のミツバチを誘引し、受粉を助けています。このため、日本のニホンミツバチを研究する学者や愛好家がこの花を用いて新たな養蜂群を形成する方法を模索していることが近年注目を集めています。

分布と利用

シュンラン属は日本から中国、東南アジアに広く分布しており、観賞用に栽培されることが一般的です。中国では古くからこの属の植物が鑑賞用として栽培されており、士大夫の教養として重要視されてきました。この伝統は日本にも伝わり、現代では「東洋ラン」という園芸のスタイルを形成しています。

日本では、シュンランやカンランなどの種が、この東洋ランの流れの中で栽培されるようになりました。東洋ランは大きく二つに分類され、花を鑑賞する花物と、葉を楽しむ柄物として分かれています。花物には中国のチュウゴクシュンランや日本のシュンラン、カンランなどの多くの品種があり、柄物は中国のホウサイランや、日本のシュンランの変種などがあります。

また、洋ランとして知られる熱帯性の華麗な花を持つラン科植物も人気で、シュンラン属の洋ランは英語で「シンビデューム」または「シンビジューム」と呼ばれています。

日本における種の分類

日本に分布するシュンラン属の植物にはいくつかの異なる種が存在します。以下に代表的な種を挙げます。

• - シュンラン (C. goeringii): 北海道から九州の山野に分布し、日本春蘭として有名です。
• - カンラン (C. kanran): 主に本州南部以南に時折見られる寒蘭です。
• - ナギラン (C. lancifolium): 森林の林床に生息し、広い葉が特徴で初夏に開花します。
• - アキザキナギラン (C. javanicum): ナギランに似た葉を持ちますが、花は淡い黄緑色で秋に咲きます。紀伊半島以南に分布し、沖縄のものは特別な大型種とみなされています。
• - マヤラン (C. macrorhizon): 外見上葉を欠いたという腐生植物の形態をしています。
• - サガミラン (C. aberrans): 同様に腐生植物の特徴を持つ種です。
• - ヘツカラン (C. dayanum var. austro-japonicum): 九州南部以南の樹上に着生します。

この他にも、カンランとシュンランの雑種とされるハルカンランがあります。春に開花し、広めの花弁を持つカンラン様の花を数輪咲かせます。

シュンラン属はその多様性から、観賞用としても教育的な価値としても注目されています。

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