アキレス腱断裂

アキレス腱断裂

アキレス腱断裂とは、腓腹筋から伸びるアキレス腱が何らかの原因で断裂した状態を指します。この腱は踵骨の後上部に付着し、下腿三頭筋の一部を形成しています。主な症状としては、突然かかとに鋭い痛みが生じ、これにより歩行が困難になることがあります。この歩行障害は、分の強い負荷や急激な動きが原因で多く見られます。

症状と原因

アキレス腱が断裂すると、跛行音（びっこを引く動作）が現れ、歩行が難しくなります。特に、跳躍運動や急激な足関節の背屈を強要する動作が原因となることが多いです。なるべく臀部付着部や筋腱移行部での断裂が一般的ですが、時には他の部位で発生することもあります。また、完全断裂と部分断裂の二つの形がありますが、どちらでも歩行能力が大幅に低下します。

スポーツとの関連性

アキレス腱断裂は特にバレーボールや剣道などのスポーツで多発します。これらの競技は、つま先への加重が急速に行われるため、腱に大きな負荷がかかります。特に剣道では、打突の瞬間に後ろ足の左アキレス腱が断裂するケースが多く報告されています。このため、稽古前のストレッチだけでは十分な予防にはならず、専用のサポーターの使用やスプリング付きの道場を利用するなどの対策が求められます。

薬物の副作用

アキレス腱断裂は、薬物の副作用によっても起こることがあります。特にフルオロキノロン系抗菌薬は腱に影響を与えることが知られています。また、長期間アキレス腱周囲炎を経験した患者においても断裂が生じることがあるため、注意が必要です。

診断方法

アキレス腱の断裂を診断するには、アキレス腱断裂テストを行います。代表的なテストにはSqueeze test、Thompson test、Simmonds' testなどがあります。特に、下腿三頭筋を押さえた際の足関節の動きを観察することが重要です。正常であれば足関節が底屈しますが、断裂の場合はこの動作が確認できないことから陽性とされます。

治療法

治療の選択肢には、外科的及び非外科的アプローチがあります。外科的治療では腱縫合術を用いて、断裂した腱を修復します。一方、非外科的アプローチではギプス固定を行い、保存的に管理します。外科的治療は再断裂のリスクを低減しますが、短期合併症の確率が高くなるため、それぞれにメリットとデメリットがあります。どちらがより効果的かは、施術施設や患者の状態によって異なるため慎重な判断が必要です。

手術とリハビリ

腱縫合術では、断裂した腱の端を外科的に結合する方法が取られ、周囲組織との癒着を防ぐよう配慮されています。手術後、リハビリテーションが重要で、早期の可動域回復を図ることが求められます。また、適切な治療を受けない場合、4週間以内の管理が不足すると予後が悪化するため、早期の専門的治療が必要です。

アキレス腱断裂は普段の生活にも重大な影響をもたらすため、予防や早期の対応が重要です。

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