アクション・フランセーズ

アクション・フランセーズ：フランスを揺るがした王党派組織とその波乱の歴史

アクション・フランセーズは、1894年に発生したドレフュス事件を背景に生まれたフランスの右翼王党派組織です。反ドレフュス派の知識人たちを中心に結成され、当初は王政復古を掲げるも、その目的は第三共和政への批判という側面が強かったと言えるでしょう。シャルル・モーラスら著名な知識人の参加、機関紙『アクション・フランセーズ』の発行により、思想面、文化面で大きな影響力を持ちました。機関紙は高い評価を得ており、世界中の識者にも読まれていました。

イデオロギー：王政復古と反共和主義、そしてファシズムへの接近

アクション・フランセーズのイデオロギーの中核は、共和制の廃止と王政復古でした。これは当時の国粋主義右翼団体とは一線を画すものでした。しかし、実際には王政復古というよりは、第三共和政への批判の手段として君主制を掲げていたと言えるでしょう。この主張は当初党内でも批判を受けましたが、モーラスの熱心な働きかけで受け入れられ、反共主義と並ぶ重要な政策となりました。しかし、1937年にはオルレアン家との対立により、この主張は表立って行われなくなりました。

第一次世界大戦後はイタリアのファシズムに影響を受け、ファシズム的な傾向も強めていきます。民族的には反ドイツ主義を、宗教的には反ユダヤ主義、反プロテスタント、反フリーメイソンを唱え、カトリックの国教化を支持しました。しかし、過激な言動から1927年にはバチカンから破門される事態に発展しました。さらに、他の極右団体との関係も悪く、しばしば内紛を起こしていました。

歴史：ドレフュス事件からヴィシー政権協力まで

創始と初期活動：アクション・フランセーズは、アンリ・ヴォジョアとモーリス・ピュジョによって創設されました。1899年には機関紙『アクション・フランセーズ』を創刊し、シャルル・モーラス、レオン・ドーデ、ジャック・バンヴィルらが加わり、組織を拡大していきます。1905年には正式に政治団体となり、1908年には機関紙を日刊紙に発展させました。また、「カムロ・デュ・ロア（王党員）」という行動隊を擁し、しばしば暴力的な行動に出ました。

第一次世界大戦と戦間期：第一次世界大戦中は、国粋主義と反ドイツ主義の立場から政府を支援。戦後はドイツの分割を主張しました。しかし、ヴェルサイユ条約ではその主張は無視されました。戦間期には、その過激な行動から、1926年には教皇ピウス11世から異端宣告を受け、モーラスの著作は禁書とされました。1934年の2月6日の危機では大規模な反政府デモを行い、多数の死傷者を出しました。1934年頃からはオルレアン家と対立し、1937年にはモーラスが国民主権を宣言したことでオルレアン家から絶縁されました。

ヴィシー政権への協力：1935年には人民戦線政府によって解散させられましたが、地下運動を続けました。1940年、ヴィシー政権が成立すると、アクション・フランセーズは活動を再開し、ヴィシー政権への協力を表明しました。これはかつての反独の主張を翻すものであり、多くの党員が離れていきました。終戦後、モーラスはナチス協力の罪で終身刑となりました。

戦後：戦後、アクション・フランセーズは解散されましたが、1947年に再建されました。現在も活動を続けていますが、かつての勢いは失っています。

アクション・フランセーズの影響と評価

アクション・フランセーズは、フランスの政治史において重要な役割を果たしました。その反共和主義、反ユダヤ主義、ファシズムへの接近などは、フランス社会に大きな影響を与えました。しかし、その暴力的な行動やヴィシー政権への協力は、大きな批判の対象となっています。アクション・フランセーズの歴史は、フランスの極右思想、そして20世紀ヨーロッパの歴史を理解する上で、重要な事例と言えるでしょう。

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