人民戦線

人民戦線について

人民戦線は、反ファシズム、反帝国主義、反戦主義を共通の目標として掲げる政治的集団を指します。この動きは、フランスの労働階級における統一戦線の発展を根源としており、1935年に開催された第7回コミンテルン世界大会でブルガリア共産党の指導者ゲオルギ・ディミトロフによってその名称が広まりました。人民戦線は、特にフランス、スペイン、チリなどで政権を獲得し、労働や社会の改革を推進していきました。

各国の人民戦線

イギリス

イギリスでは、1936年12月に自由党や労働党のメンバーが中心となって人民戦線を結成しましたが、政権の獲得には至りませんでした。この時の選挙では、一定の成功を収めるも、最終的には不完全な成果に終わりました。

フランス

フランスにおける人民戦線は、1932年に開催されたアムステルダム国際反戦大会を契機に形成されました。この動きは、1934年に右翼のファシストによる脅威が現れると、反ファシズム勢力が結集し、共同行動を開始しました。1936年には、社会党系のレオン・ブルムを首班とする人民戦線政府が成立し、労働者の権利向上や社会改革が進められました。しかし、人民戦線内部での意見の相違や急進派の動きが影響し、1937年から1938年にかけてその活動は解消に向かいました。

スペイン

スペインでは、1936年に共和主義左派を中心とした人民戦線が誕生しました。しかし、国内での抗争が激化し、ファシスト勢力による軍の反乱が起こります。ナチス・ドイツやファシスト・イタリアから支援を受けるファランヘ党との戦いは内戦に発展し、国際義勇軍が人民戦線を支援しましたが、最終的にはフランコの独裁体制が確立されました。

チリ

チリでも1937年に人民戦線が結成され、次の年には大統領選挙で成功を収めました。急進党のペドロ・アギーレ・セルダが当選し、民主主義同盟に改称された人民戦線は、共産党と連携を図りましたが、結局は共産党の非合法化とともに崩壊しました。

コミンテルンと人民戦線

コミンテルンの方針転換も人民戦線に大きな影響を及ぼしました。スターリンは社会民主主義と共産党が連携する戦略へと舵を切りましたが、その過程でトロツキーからの批判も受けました。実際、フランス共産党はストライキ運動を優しく管理し、大胆な行動を控えたため、人民戦線運動の特異性が際立ちました。

在り方の帰結

人民戦線運動は、その後も様々な政治運動に影響を与えてきました。特に、戦後の日本やフランス、イタリアにおける共闘の形態は、人民戦線の理念を引き継いでいると考えられます。このように、人民戦線は単なる歴史的な政治運動にとどまらず、現在においてもその影響を色濃く残しているのです。

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