アクセス (企業)

株式会社アクセス（Acces Co.,Ltd.）は、かつて金融機関向けの大規模ネットワークシステムや関連ソフトウェアの開発を手掛けていた企業です。本社は大阪市西区に所在していました。

1994年に設立されたアクセスは、金融システム分野で確かな技術力を持ち、実績を積み重ねてきました。2004年にはジャスダックへの株式上場を果たすなど、事業規模を拡大していましたが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。2008年には、売上高の水増しによる粉飾決算が発覚し、当時の社長が引責辞任するという事態に発展します。この不祥事は、企業の信頼を大きく損なうこととなり、後に前社長は金融商品取引法違反容疑で逮捕されるに至りました。

その後、経営再建に努めたものの、2009年にはジャスダック市場から上場廃止を余儀なくされ、2014年には日本コンピューター・システム株式会社に吸収合併され、その歴史に幕を閉じました。現在、旧アクセスはNCS&A株式会社として事業を継続しています。

アクセスの歴史

設立と事業拡大

1994年7月、株式会社アクセスは大阪市中央区博労町に設立されました。同年12月には東京オフィスを開設し、事業展開を本格化させます。2003年2月には、大阪市中央区道修町に新社屋を竣工し、本社を移転しました。この新社屋には、地域貢献を目的としたコミュニティ施設「アクセスホール」も併設され、3階に320人収容のシアター形式のホール、2階にホワイエが設けられていました。これらの施設は、地域住民に開放され、文化活動の拠点としても活用されていました。2004年12月には、ジャスダックへの株式上場を果たし、事業の更なる拡大を目指しました。

粉飾決算事件と上場廃止

順調に成長を続けているように見えたアクセスでしたが、2008年4月、売上高の水増しによる黒字偽装が発覚しました。この事態を受け、社長の北博之氏が引責辞任し、後任には松浦徹氏が就任しました。さらに、同年5月には、前社長の北氏が金融商品取引法違反容疑で逮捕され、企業としての信用は大きく失墜しました。この事件は、企業のガバナンスの重要性を示す教訓として、多くの関係者に大きな衝撃を与えました。

2009年1月、アクセスはジャスダック証券取引所から上場廃止となり、再建への道を模索することになります。2012年5月には、本社を大阪市西区江戸堀に移転し、心機一転を図ります。また、2013年8月には、株式会社フューチャー・コミュニケーションズを子会社化するなど、事業の多角化も試みられました。

吸収合併と現在

しかしながら、企業としての立て直しは思うように進まず、2014年8月、アクセスは日本コンピューター・システム株式会社に吸収合併され、NCS&A株式会社として新たなスタートを切ることになりました。この合併により、株式会社アクセスとしての歴史は幕を閉じました。

旧本社ビルについて

2003年に竣工した旧本社ビルは、アクセスホールを併設し、地域振興に貢献する施設としての役割も担っていました。しかし、2007年3月には、アクセス本社ビルと道修町ビルは売却され、現在は大阪ガスが所有し、大阪ガス御堂筋東ビル（OMEビル）として利用されています。旧アクセスの面影は、この建物には残されていません。

株式会社ACCESSとの混同について

なお、東京都千代田区に本社を置く株式会社ACCESS（組み込みソフトウェア開発企業）とは、資本関係を含め一切関係ありません。両社は名称が類似していますが、事業内容や歴史は全く異なる企業です。

まとめ

株式会社アクセスは、金融システム開発で実績を上げた企業でしたが、粉飾決算事件により信頼を失い、吸収合併という形でその歴史を終えました。この出来事は、企業の不正行為がもたらす深刻な影響を物語る事例として、記憶されるべきでしょう。

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