アクティブフィルタ

アクティブフィルタとは

アクティブフィルタは、能動素子（トランジスタ、演算増幅器など）を組み込んだフィルタ回路です。電気信号から特定の周波数成分だけを取り出す役割を果たします。これは、抵抗、コンデンサ、コイルなどの受動素子のみで構成されるパッシブフィルタとは対照的です。

パッシブフィルタの限界とアクティブフィルタの必要性

パッシブフィルタは、その構成要素の制約から、得られる周波数特性に限界があり、信号の増幅もできません。そこで、抵抗素子、キャパシタ素子に加えて、増幅素子を組み合わせたアクティブフィルタが活用されます。これにより、パッシブフィルタでは実現できない特性、例えば、特定の周波数範囲の信号を増幅したり、特定の周波数のノイズを効率的に除去することが可能になります。

増幅素子としては、真空管、トランジスタ、演算増幅器（OPアンプ）などが使用されますが、実用上は演算増幅器を用いたものが主流です。

アクティブフィルタの応用

アクティブフィルタは、その柔軟性から多様な用途に利用されています。代表的なものとしては以下のようなものがあります。

ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ: 特定の周波数より高い、あるいは低い周波数の信号を通過させるフィルタ。
帯域可変フィルタ: 回路内の可変抵抗素子や、スイッチト・キャパシタのクロック周波数を変化させることで、通過させる周波数帯域を調整できるフィルタ。
ノイズ除去: 特定の周波数帯域のノイズを減衰させるフィルタ。電源ハム（50Hzまたは60Hz）の除去にも有効。
チャタリング除去: スイッチの接触不良などによる異常信号を除去。

アクティブフィルタの種類

アクティブフィルタには、その構成や特性に応じて様々な種類があります。

多重帰還形: 演算増幅器の出力を複数箇所で入力側に帰還させることで、高いQ値（共振の鋭さ）を実現する方式。
制御電源形: 電源を制御することで、フィルタ特性を調整する方式。
電圧制御電圧源（VCVS）: 電圧制御型の電圧源を用いた回路構成で、フィルタ特性を制御する方式。

アクティブフィルタの特性

アクティブフィルタの特性を表すものとして、以下のものがあります。

バターワース特性: 通過帯域の周波数特性が平坦で、減衰特性も比較的滑らかな特性。
ベッセル特性: 過渡応答特性が優れており、パルス信号など波形の歪みを抑えたい場合に適した特性。
チェビシェフ特性: 通過帯域にリップル（微小な変動）があるものの、減衰特性が急峻な特性。
エリプティック特性: 通過帯域と阻止帯域の両方にリップルがあり、非常に急峻な減衰特性を持つ特性。

アクティブフィルタの利点

アクティブフィルタは、パッシブフィルタと比較して、以下の利点があります。

増幅機能: 信号を増幅できるため、信号の減衰を補償できる。
柔軟な周波数特性: 様々な周波数特性を持つフィルタを設計できる。
高精度なフィルタ特性: 抵抗値などの誤差の影響を受けにくく、高精度なフィルタ特性が得られる。
* 小型化が可能: コイルなどの大型部品を必要としないため、回路を小型化できる。

アクティブフィルタは、電子回路において不可欠な要素であり、その多様性と柔軟性から、様々な場面で活用されています。

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