アグリー・クリスマス・セーター

アグリー・クリスマス・セーター：悪趣味が最高潮に達したクリスマスファッション

アグリー・クリスマス・セーターとは、クリスマスをモチーフにした、けばけばしく、大胆なデザインのセーターのことです。雪だるまやトナカイ、クリスマスツリーといったモチーフが、過剰なほどに、そして時に奇妙な配置で編み込まれています。その「悪趣味さ」こそが、このセーターの魅力であり、人気を支える大きな要因となっています。ウォール・ストリート・ジャーナルは2010年、このセーターを「いま最もホットなファッション」と評したほどです。

奇妙な魅力の起源：おばあちゃんの手編みセーターから

アグリー・クリスマス・セーターのルーツは、欧米で多くの人が経験する、おばあちゃんからもらう「着るのが恥ずかしい」手編みのクリスマスセーターにあります。派手な色使い、大柄なモチーフ、そして独特の編み方。これらのセーターは、子供時代の少々苦い思い出として、多くの人の記憶に刻まれているかもしれません。しかし、この「悪趣味」なセーターが、いつしか人々の心を捉え、新たなファッションとして注目を集めることになります。

その歴史は古く、少なくとも19世紀には存在していたと考えられています。1980年代から90年代にかけて、ジョークグッズとして人気に火が付き、イギリスの子供向け番組での着用や、コメディアン、ビル・コスビーの着用が、その普及に貢献したという説もあります。2001年の映画『ブリジット・ジョーンズの日記』でコリン・ファースが着用したことで、さらに注目を集めました。

「ダサかわいい」が世界を席巻：チャリティーと商業化

2010年代に入ると、アグリー・クリスマス・セーターは「ダサかわいい」という新たな魅力を獲得し、セレブにも愛好者が増えました。オンライン小売大手アマゾンでは、その売上が1年で6倍に増加、Google検索数も3割増と、その人気は急上昇しました。

この人気を背景に、イギリスではチャリティーイベント「クリスマス・ジャンパー・デイ」が開催されるようになりました。参加者はアグリー・クリスマス・セーターを着用し、子供たちへの寄付を行います。アメリカでは「アグリー・クリスマス・セーターの日」が制定され、多くのブランドが競って個性的なセーターを販売しています。

アグリー・クリスマス・セーター・パーティーやコンテストも開催され、その悪趣味さを競い合う文化が形成されています。高級デパートからファストファッションブランド、さらには高級ブランドまでもが参入し、ヴィンテージものや、スラッシュメタルバンドのスレイヤーがデザインしたセーターまで登場するなど、その勢いは留まるところを知りません。ウォール・ストリート・ジャーナルは、このセーターが服飾業界に大きなビジネスチャンスをもたらしていると指摘しています。

日本での人気

日本でもSNSやテレビ番組で特集されるなど、アグリー・クリスマス・セーターは注目を集めています。ハロウィンとは異なり、大人向けのイベントとして定着しつつあり、クリスマスシーズンの新たな楽しみ方として、今後ますます人気が高まることが予想されます。

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