アゲイン/明日への誓い

アゲイン／明日への誓い：ベトナム戦争の影と兄弟の絆

1989年、香港で公開された『アゲイン／明日への誓い』（原題：英雄本色III夕陽之歌）は、人気シリーズ『男たちの挽歌』の第3作目にあたります。しかし、時系列的にはシリーズ1作目よりも前の物語が描かれており、前日譚的な位置づけとなっています。監督は前作までのジョン・ウーからツイ・ハークへと変わり、新たな視点でシリーズの世界観が展開されます。

舞台は1974年、ベトナム戦争末期のサイゴン。主人公は、前作と同じくチョウ・ユンファが演じるマークです。彼は、従弟のマイケルを政府軍の魔の手から救い出し、香港への脱出を図ります。しかし、脱出の途中で裏切者に遭遇し、命の危険に晒されます。

絶体絶命の危機に瀕したマークを救ったのは、香港の闇社会を牛耳るホーの配下で働く女ボス、キティでした。キティの助けによって、マークとマイケル、そして彼らの叔父は無事に香港へ脱出に成功します。この出来事をきっかけに、マークとキティは互いに惹かれ合い、穏やかな日々を送るようになります。

しかし、そんな平穏な生活は長くは続きませんでした。3年前に消息不明になっていたホーが、突然彼らの前に姿を現したのです。キティは、恩義のあるホーと愛するマークの板挟みになり、苦悩します。ホーはキティの揺れる心を察知すると、マークとマイケルが働く自動車修理工場を爆破。この事件で、マークの叔父は命を落とします。

叔父の死を知ったキティは、復讐の鬼と化し、ホーを追って再びサイゴンへと旅立ちます。マークとマイケルは、キティの後を追ってサイゴンへ向かい、そこで壮絶な戦いに身を投じることになります。

本作は、ベトナム戦争という激動の時代を背景に、マークとキティ、そしてマイケルたちの愛憎劇を描いています。裏切り、友情、そして復讐といった様々な要素が複雑に絡み合い、息もつかせぬ展開で物語は進んでいきます。また、シリーズ前作とは異なる、新たな魅力あふれるアクションシーンも見どころの一つです。

なお、日本での公開タイトルは『アゲイン／男たちの挽歌III』や『男たちの挽歌III アゲイン／明日への誓い』など、複数のバリエーションが存在します。さらに、日本語吹き替え版も複数制作されており、それぞれ異なるキャストによる魅力的な作品となっています。1993年東和ビデオ発売のVHSや、2013年パラマウント発売のBD＆DVDに収録されているソフト版1、1999年カルチュア・パブリッシャーズ発売のDVDに収録されているソフト版2など、様々なバリエーションを楽しむことができます。2023年3月20日のWOWOW放送では、香港公開版の追加シーンも収録された、特別な吹き替え版が放送されました。

『アゲイン／明日への誓い』は、シリーズファンはもちろん、アクション映画ファン、そしてベトナム戦争に興味のある方にもおすすめできる、見応えのある作品です。複雑な人間関係と壮絶なアクションシーンが、忘れられない感動を呼び起こすことでしょう。

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