アゲラーオス

アゲラーオス

ギリシア神話に登場するアゲラーオス（古希: Ἀγέλαος, Agelāos）という名前は、同名の複数の人物が確認されています。これらの人物はそれぞれ異なる系譜や物語の中で役割を担っています。主なアゲラーオスとして挙げられるのは、リューディアの女王オムパレーの子、トロイア王プリアモスの忠実な召使、オデュッセウスの妻ペーネロペーに言い寄った求婚者の一人、そしてヘーラクレイダイの一族であるテーメノスの子などです。

オムパレーの子アゲラーオス

リューディアの女王オムパレーと英雄ヘーラクレースの間に生まれた息子です。彼の系譜は後世まで続き、有名なリューディア王クロイソスの祖先にあたるとされています。

プリアモスの召使アゲラーオス

トロイアの王プリアモスの家で仕えていた人物です。トロイアの滅亡の原因となる子が生まれるという予言を受け、プリアモスの命により、生まれたばかりのパリスをイーデー山に捨てる役目を担いました。しかし、山中で牝熊が赤子を養育しているのを目にし、憐れに思ってパリスを都に連れ帰りました。彼はパリスを自分の子として大切に育て、彼の人生に大きな影響を与えました。彼の行動は、後にトロイア戦争の引き金となるパリスの成長に繋がります。

ペーネロペーの求婚者アゲラーオス

イタケーの王オデュッセウスが長期にわたり留守にする間、その妻ペーネロペーに結婚を迫った数多くの求婚者たちの一人です。彼はサメー島の出身で、ダマストールの子として知られています。オデュッセウスが乞食に変装して帰還した際、求婚者の一人であるクテーシッポスが彼に物を投げつけた出来事がありました。このとき、オデュッセウスの息子テーレマコスが激怒するのを見て、アゲラーオスはテーレマコスを宥めようとしました。しかし、オデュッセウスが正体を現し、求婚者たちの粛清を始めた際には、アテーナーがオデュッセウスに味方しようと現れたことに対し、アテーナーを脅すような言動をとりました。アテーナーがその場を去った後、彼は他の求婚者たちと共にオデュッセウスに向かって槍を投げましたが、アテーナーの加護によってその狙いは逸らされました。そして最終的に、彼はオデュッセウス自身の手によって討ち取られました。

テーメノスの子アゲラーオス

ドーリス人がペロポネーソスを征服した際に主要な指導者の一人であったヘーラクレイダイのテーメノスの息子です。彼はエウリュピュロス、カリアース、そしてヒュルネートーといった兄弟姉妹がいました。父テーメノスが娘のヒュルネートーを特に寵愛し、その夫デーイポンテースを重用したことに不満を抱いたアゲラーオスとその兄弟たちは、父テーメノスを謀殺するという行為に及びました。しかし、この行いは軍隊の支持を得られず、彼らが王位を継承することは叶いませんでした。一部の伝承では、父を殺害したのはデーイポンテースであったとも語られています。

その他のアゲラーオス

上記以外にも、資料によっては以下の人物もアゲラーオスという名で伝えられています。

• - イクシーオーンの息子とされる人物。
• - アルカディア地方の王ステュムパーロスの子で、パラントスの父にあたる人物。
• - トロイア戦争において、ヘクトールによって討ち取られたギリシアの戦士の一人。アイシュムノス、アウトノオス、オピテース、ドロプス、オロス、ヒッポノオスらと共に名を挙げられています。

このように、ギリシア神話においてアゲラーオスという名前は、様々な時代や地域、物語の中で異なる立場の人物に用いられています。彼らは王家の血を引く者、忠実な召使、物語の敵役、そして悲劇的な運命を辿る者など、多岐にわたる役割を担いました。

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