アゴスティニョ・ネト

アントニオ・アゴスティニョ・ネト：アンゴラ独立の父

アントニオ・アゴスティニョ・ネト（1922年9月17日 - 1979年9月10日）は、アンゴラの初代大統領であり、革命家、民族主義者、政治家、社会主義者、詩人、軍人としても知られています。彼はアンゴラの独立運動を主導し、同国の歴史において重要な役割を果たしました。

生涯

ネトはベンゴ州のカテテで、メソジスト教会の牧師の息子として生まれました。ルアンダの高校を卒業後、ポルトガル統治下の1940年代に、アンゴラの伝統文化復興運動の中で頭角を現しました。民族主義運動に参加する一方で、リスボン大学で医学を学び、1958年にポルトガル人女性と結婚。翌年、医師免許を取得してアンゴラに帰国しました。

帰国後まもなく、ネトは独立運動の活動によりポルトガル植民地政府に逮捕されます。この逮捕に抗議した両親や支持者がデモ行進を行いましたが、ポルトガル軍によって鎮圧され、多数の死傷者が出ました。ネト自身はカーボベルデへ追放された後、リスボンで拘留されますが、脱走に成功。モロッコ、ザイールへと亡命し、国外から反ポルトガル闘争を継続しました。

1962年にはアメリカを訪問し、ジョン・F・ケネディ大統領にアンゴラの独立を訴えましたが、アメリカは既に別のアンゴラ解放組織を支持しており、彼の訴えは受け入れられませんでした。その後、ネトはキューバのチェ・ゲバラと会談し、キューバからの支援を取り付けることに成功。以後、キューバとの関係を深め、フィデル・カストロとの間でイデオロギー的な共感を抱きました。

アンゴラ独立戦争と大統領就任

ネトはアンゴラ解放人民運動（MPLA）を率いてアンゴラ独立戦争を指導し、ポルトガルの撤退後、他の勢力との権力闘争を制して1975年11月11日に初代大統領に就任しました。大統領として、ネトはソ連をはじめとする共産圏諸国との関係を強化し、アンゴラを東側陣営に導きました。また、キューバからの大規模な支援を受け、内戦を戦い抜きました。

しかし、MPLAと対立する勢力、特にアメリカや中国が支援する組織との間では対立が深まりました。ネトは中越戦争の際に中国を非難するなど、国際的な政治的立場を鮮明にしました。

死去と遺産

1979年9月、ネトはモスクワで病死し、ジョゼ・エドゥアルド・ドスサントスが後を継ぎました。彼の遺体はソ連でミイラ化されましたが、安置廟の建設が進まなかったため、1992年にアンゴラ政府によって埋葬されました。

首都ルアンダには、彼の名を冠したドクター・アントニオ・アゴスティニョ・ネト国際空港が建設され、2023年11月に開港しました。また、アゴスティーニョ・ネト大学も彼の功績を記念して命名されています。アントニオ・アゴスティニョ・ネトは、アンゴラの独立と発展に貢献した英雄として、今も国民から敬愛されています。

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