アサル朝

アサル朝（ダンケルド家）の歴史

アサル朝、またはダンケルド家は、11世紀から13世紀にかけてスコットランド王国を支配した王家です。その起源は、アサル領主の家系に生まれたダンカン1世に遡ります。この王朝は、スコットランドの歴史において重要な役割を果たし、その後の王位継承にも大きな影響を与えました。

王朝の成立

アルピン朝最後の王であるマルカム2世は、従来のタニストリー（有力者による王位選出）から長子相続へと王位継承のシステムを改革しました。しかし、マルカム2世には息子がおらず、長女ベソックとダンケルド修道院長クリナンの間に生まれたダンカン1世が王位を継承することになりました。

王位を巡る争い

ダンカン1世は、対イングランド戦での敗北など、政治的な失敗が重なり、従兄弟であるマクベスによって暗殺されました。マクベスが王位を奪うも、ダンカン1世の息子であるマルカム（後のマルカム3世）によって倒されました。その後、マクベスの義子であるルーラッハが王位を継承しましたが、彼もまたマルカム3世によって殺害され、マルカム3世がスコットランド王位に就きました。これにより、アサル家がスコットランド王位を継承することになりました。

王朝の終焉

アサル朝は、13世紀後半にその終焉を迎えます。1268年、アレグザンダー3世が落馬事故で亡くなりましたが、彼には後継となるべき息子たちがすでに亡くなっており、唯一の孫は長女マーガレットの娘であるノルウェー王女マーガレットのみでした。ノルウェー王女マーガレットの死後、王位はハンティンドン伯デイヴィッドの女系子孫の間で争われることになり、第一次スコットランド独立戦争へと繋がっていきます。

歴代国王

アサル朝（ダンケルド家）の主な国王は以下の通りです。

ダンカン1世（1034年 - 1040年）
（マクベス（1040年 – 1057年）：アサル朝の王ではない）
（ルーラッハ（1057年 – 1058年）：アサル朝の王ではない）
マルカム3世（1058年 – 1093年）
ドナルド3世（1093年 – 1097年）
ダンカン2世（1094年）
エドガー（1097年 – 1107年）
アレグザンダー1世（1107年 - 1124年）
デイヴィッド1世（1124年 – 1153年）
マルカム4世（1153年 – 1165年）
ウィリアム1世（1165年 – 1214年）
アレグザンダー2世（1214年 – 1249年）
アレグザンダー3世（1249年 – 1286年）

アサル朝の系図

アサル朝の系図は、ユングリング家、ベイリャル家、ブルース家など、他のスコットランドの王家とも複雑に絡み合っています。これらの家系は、スコットランドの歴史を理解する上で非常に重要です。

まとめ

アサル朝は、スコットランド王国の歴史において、重要な時期を統治した王朝です。王位継承をめぐる争いや、政治的な変遷を通じて、スコットランドの国家形成に大きな影響を与えました。この王朝の歴史を理解することは、スコットランドの歴史をより深く理解することに繋がります。

参考文献

ナイジェル・トランター 『スコットランド物語』 大修館書店、1997年
森 護 『スコットランド王室史話』 大修館書店、1988年
John Cannon, Ralph Griffiths, History of the British Monarchy, Oxford University Press, 1988.

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