アルピン朝

アルピン朝の概要

アルピン朝は、843年から1034年まで、現在のスコットランドにあたる地域を支配した王朝です。始祖はダルリアダ王とも言われるアルピンで、彼の名を冠してこの王朝は呼ばれます。約200年間の歴史を持ちますが、詳細な記録は少なく、不明な点も多く残されています。

アルピン朝時代の出来事

アルピン朝の時代は、外敵からの侵略に常に晒されていました。ヴァイキングによる度重なる襲撃や、イングランドの小王国からの侵入など、周辺地域からの脅威に常に備える必要がありました。

また、王位継承においては、独特の制度である「タニストリー」が採用されていました。これは、前王の長子が自動的に王位を継承するのではなく、王族の中から最もふさわしい人物が選ばれるという制度です。この制度は、時に王位を巡る争いを激化させ、前王の暗殺といった悲劇も引き起こしました。

マルカム2世の時代になると、このタニストリー制は廃止されます。しかし、マルカム2世には男子がおらず、2人の娘しかいなかったため、王位は結局、娘たちの血を引く者たちの間で争われることとなります。最終的には、長女ベソックの子孫が王位を継承し、アサル朝としてスコットランド王室の歴史を繋いでいくこととなります。

歴代の国王

アルピン朝の歴代国王は以下の通りです。

ケネス1世（843/8年 - 858年）
ドナルド1世（858年 - 862年）
コンスタンティン1世（862年 - 877年）
エイ（877年 - 878年）
ギリク（878年 - 889年）
ヨーカ（878年 - 889年）
ドナルド2世（889年 - 900年）
コンスタンティン2世（900年 - 943年）
マルカム1世（943年 - 954年）
インダルフ（954年 - 962年）
ダフ（962年 - 967年）
カリン（967年 - 971年）
アムライフ（973年頃–977年）
ケネス2世（971年頃/977年–995年）
コンスタンティン3世（995年–997年）
ケネス3世（997年 – 1005年）
マルカム2世（1005年–1034年）

これらの王たちの中で、特にマルカム2世は、タニストリー制の廃止など、後のスコットランド王国の基礎を築く上で重要な役割を果たしました。

アルピン朝の歴史的意義

アルピン朝の時代は、決して平和な時代ではありませんでしたが、この時代の混乱と変革の中で、後のスコットランド王国へと繋がる道筋が作られました。特に、王位継承を巡る争いは、後世の歴史にも大きな影響を与えました。また、ヴァイキングやイングランドからの侵略は、スコットランドの人々のアイデンティティ形成にも影響を与えたと考えられます。アルピン朝は、スコットランドの歴史において、重要な一時代であったと言えるでしょう。

参考文献

ナイジェル・トランター 『スコットランド物語』 大修館書店、1997年
森護 『スコットランド王室史話』 大修館書店、1988年
John Cannon, Ralph Griffiths, History of the British Monarchy, Oxford University Press, 1988.

関連項目

ダルリアダ王国
アルバ王国
スコットランド王国
スコットランド君主一覧

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