アザー・サイド 死者の扉

アザー・サイド 死者の扉

『アザー・サイド 死者の扉』（原題: The Other Side of the Door）は、2016年に公開されたアメリカ、イギリス、インド合作のホラー映画である。監督はヨハネス・ロバーツが務め、主演はサラ・ウェイン・キャリーズが演じた。本作は日本国内で劇場公開はされなかったが、20世紀フォックスによるデジタル配信が行われている。

あらすじ

物語は、自動車事故で息子オリバーを失ったマリア・ハーウッドの深い罪悪感から始まる。事故の際、マリアは娘のルーシーだけを救い出すことができたが、車に挟まれたオリバーを助けられなかったのだ。夫のマイケルが彼女の自殺未遂を発見するほど、マリアは精神的に追い詰められていた。そんな彼女を慰める家政婦のピキは、自身も娘を事故で亡くした経験を持つ。ピキは、故郷に生者と死者の境界線が薄れるという寺院があることをマリアに告げ、そこでオリバーに最後の別れを告げられるかもしれないと提案する。ただし、儀式の際に「オリバーが何を言っても寺院の扉を開けて外に出してはいけない」という厳重な禁忌を付け加える。

マリアはピキの言葉に従い、オリバーの遺体を掘り起こし、火葬を行う。その作業中、体に灰を纏った男性たちを目撃する。ピキの説明によれば、彼らは死体の肉を食べたり遺灰を振りかけたりすることで、生者と死者の世界を繋ぐ力を高めるシャーマンだという。

翌日、マリアは寺院を訪れる。寺院内部でミイラ化した死体を目にするなど不気味な状況下、マリアは儀式の準備を進める。日が沈む頃、オリバーの声が聞こえてくる。「見殺しにしてごめんなさい」と涙ながらに謝罪するマリアに対し、オリバーは寺院の外に出してくれるように懇願する。当初はピキの忠告を守ろうと抵抗するマリアだったが、息子の願いに抗えず、ついに寺院の扉を開けてしまう。

帰宅後、マリアは何事もなかったかのように振る舞い、ピキにも禁忌を破ったことを隠す。しかし、間もなく自宅で怪奇現象が頻発し始める。ピアノが勝手に鳴り出し、娘のルーシーは「お兄ちゃんが帰ってきたけれど、誰かから隠れているみたい」と話し始める。ルーシーはさらに「お兄ちゃんにはまだ心の準備が必要みたいだから、お父さんには内緒にしてね」とマリアに告げる。オリバーの部屋に入ったマリアは、椅子が自分の方へ向きを変え、その上にオリバーが死ぬまで読み聞かせていた『ジャングル・ブック』が置かれているのを発見する。マリアは、オリバーがこの本の続きを求めていると感じ、読み始める。その頃、ピキは家の周りの植物が枯れ始めていることに気づき、マリアが寺院の扉を開けてしまったことを悟る。禁忌を破ったことで、ハーウッド一家は想像を絶する恐怖に見舞われることになる。

キャスト

マリア・ハーウッド：サラ・ウェイン・キャリーズ（日本語吹き替え：本田貴子）
マイケル・ハーウッド：ジェレミー・シスト
ルーシー・ハーウッド：ソフィア・ロジンスキー
オリバー・ハーウッド：ローガン・クレラン
オリバーの声：ジャックス・マルコム
ピキ：サチトラ・ピライ
* ミルトゥ：ハビエル・ボテット

公開と興行収入

本作は当初、2016年2月26日に全米で公開される予定だったが、後に公開日が3月11日、さらに3月4日へと変更された。2015年11月25日には、本作のオフィシャル・トレイラーが公開されている。2016年3月4日の全米公開では、546館で上映が始まり、公開初週末に約121万ドルの興行収入を記録し、週末興行収入ランキングで16位に初登場した。

評価

本作に対する批評家からの評価は、全体的に低迷している。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesでは、35件のレビューに基づき批評家支持率が37%に留まり、10点満点中の平均点も4.62点となっている。同サイトの批評家総意では、「薄っぺらいジャンプスケアと陳腐なステレオタイプに満ちており、サラ・ウェイン・キャリーズの好演を無駄にした、ごくありふれたホラー作品」と評されている。また、Metacriticには10件のレビューが寄せられ、加重平均値は100点満点中41点となっている。これらの評価から、批評家は本作を独創性や質に欠ける作品とみなしている傾向が伺える。

結び

『アザー・サイド 死者の扉』は、愛する者を失った悲しみが生み出す恐怖を描こうとした作品だが、批評家からは概ね否定的な評価を受けた。禁忌を破るという古典的なホラーのモチーフを用いているが、その描写や演出が批評家の期待に応えられなかったと言えるだろう。

もう一度検索