アジアイトトンボ

アジアイトトンボ（亜細亜糸蜻蛉）

アジアイトトンボ（Ischnura asiatica）は、イトトンボ科に属する比較的小さなトンボです。日本では本州を中心に広く分布し、身近な水辺で見ることができます。

分布

アジアイトトンボは、北海道、本州、四国、九州といった日本列島の主要な島々に分布しています。さらに、佐渡島、淡路島、壱岐、隠岐、対馬、南西諸島などの離島にも生息が確認されています。国外では、中国、台湾、朝鮮半島など、東アジア地域に広く分布しています。

特徴

成虫

サイズ: 腹長は約20〜25mm、後翅長は12〜19mm程度で、アオモンイトトンボ属の中では最も小さい部類に入ります。
オス: 腹部第9節に特徴的な紋様があります。これがアオモンイトトンボ（第8節に紋様がある）との識別ポイントとなります。
メス: 成熟すると、全体的にすすけたような草色になります。アオモンイトトンボのように、オスと同色型のメスは存在しません。

幼虫（ヤゴ）

サイズ: 体長は約12〜15mm、側尾鰓長は約4〜7mmです。
側刺毛: 5本である個体が多いです。
尾鰓: 中央部に1本の淡い褐色の横条があります。

生態

アジアイトトンボは、比較的長い期間、成虫の姿を見ることができます。高知県では3月下旬から11月初め頃まで観察されています。年に2回発生すると考えられており、春から初夏に羽化する個体は大きく、夏の終わりに現れる個体は小さい傾向があります。

成熟したオスは水辺に戻り、メスとの配偶行動を行います。交尾は午前中に始まることが多いですが、夕方近くまで続くこともあります。交尾時間は非常に長く、数時間に及ぶことも珍しくありません。産卵は主に午後に、メスが単独で行います。水面近くの植物組織内に産卵し、時には水中に潜ることもあります。

幼虫は、平地や丘陵地の水生植物が繁茂した池沼、湿地、水田、水路などに生息しています。水中の植物などに掴まって生活していることが多く、成虫も幼虫と同様の場所に生息しています。ただし、若い個体は羽化した水辺を離れて、遠くの草原まで移動することもあります。

類似種

アジアイトトンボは、同じ属のアオモンイトトンボと非常によく似ています。識別する際のポイントは以下の通りです。

オスの紋様: アジアイトトンボは腹部第9節、アオモンイトトンボは第8節に紋様があります。
メスの同色型: アジアイトトンボには同色型のメスは存在しません。
ヤゴ: アオモンイトトンボのヤゴは、淡褐色ないし緑褐色で弱々しい印象で、頭部の後角が突出していません。尾鰓は細く尖っており、中央文節が不明瞭です。

ギャラリー

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脚注

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関連項目

トンボ
イトトンボ
アオモンイトトンボ

外部リンク

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