アジアス

アジアス：歴史と変遷を彩るグローバル保険グループ

アジアス(Ageas N.V./S.A.)は、ベルギーを拠点とする国際的な保険会社グループです。ヨーロッパとアジアの15カ国で事業を展開し、ユーロネクスト・ブリュッセルにも上場、BEL20構成銘柄にも名を連ねるなど、その規模と影響力は無視できません。

揺るぎない歴史：19世紀からの歩み

アジアスの歴史は、1824年にベルギーで創業したAssurances Générales (現在のAG Insurance)にまで遡ります。これは、まさにヨーロッパが産業革命のまっただ中にある時代のこと。ベルギー王ウィレム1世の許可を得てアムステルダムに設立され、初代総代にはジャック・コーエンが就任しました。ベルギー独立後、コーエンはベルギー第二代蔵相に就任し、レオポルド1世から資産運用を委託されるなど、国家レベルでの信頼を勝ち得ていたことが分かります。AG Insuranceは機関投資家として、積極的に投資を行い、事業を拡大していきました。

国際化と買収：20世紀の成長

第二次世界大戦後のベルギーは、軍事や外交だけでなく経済においても国際化が進みます。AG Insuranceもこの流れに乗り、1969年には持株会社へと移行。そして1971年には、アントウェルペンを拠点とする大手損保会社セキュリタスを買収、その買収劇は当時大きな話題となりました。この買収を指揮したのはモーリス・フレール。彼は戦前、政治の要職に就き、戦後はベルギー国立銀行総裁、さらには国際決済銀行理事会議長を務めるなど、輝かしいキャリアを築いてきた人物でした。

フォルティスグループと世界金融危機

1990年代には、オランダのバンカシュアランスであるAMEV/VSBとの合併により、フォルティスグループが誕生しました。2007年には、ABNアムロ銀行買収という大型案件にも参加。しかし、リーマンショックによる世界金融危機によって、フォルティスは経営破綻寸前に陥ります。結果、一部事業はBNPパリバやオランダ政府に売却され、残りの部門はフォルティス・ホールディングとして再出発することになりました。2010年、フォルティス・ホールディングは社名をAgeas N.V./S.A.へと変更し、現在のアジアスへと生まれ変わりました。なお、アムステルダム控訴裁判所では、2018年にアジアスに対して欧米投資家への損失補償支払いを命じる判決が出されていますが、これは世界金融危機におけるABNアムロ買収と関連した問題です。

アジア市場での成長と現在の姿

現在のアジアスは、ベルギーのAG Insurance、イギリスのAgeas Insuranceなど、複数のブランドを傘下に収める多様な事業構造を有しています。特にアジア市場での成長が目覚ましく、売上の多くをアジア地域が占めています。事業内容としては、生命保険が全体の約4分の3を占め、非生命保険が約4分の1となっています。

未来への展望

19世紀に創業し、世界金融危機をも乗り越えてきたアジアス。その歴史と経験は、今後のグローバルな保険市場における競争においても、大きな強みとなるでしょう。今後もアジアを中心に、更なる成長が期待されます。

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