アジアパーク

アジアパーク：幻に終わったテーマパークの盛衰

アジアパークは、かつて熊本県荒尾市に存在したテーマパークでした。1990年代初頭に開園しましたが、短期間で閉鎖され、その存在は幻のように消え去りました。このテーマパークは、地方経済の活性化を目指したリゾート法に基づいて建設されましたが、結果として、その負の側面を象徴する事例として知られています。

開園の背景と夢

1990年（平成2年）12月12日、アジアパークは華々しく開園しました。背景には、三井三池炭鉱の閉山後の地域経済の立て直しという大きな課題がありました。国、熊本県、そして37もの民間企業が出資し、第三セクター「アスク」が設立され、その運営を担いました。1993年（平成5年）6月には、公募によって「アジアパーク」という名称が決定し、運営会社の商号もこれに合わせて変更されました。三井グリーンランドに隣接する4.4ヘクタールの土地に、約44億円もの巨額の費用を投じて建設されたアジアパークは、地域住民の期待を一身に背負っていました。

アジアの魅力を凝縮したテーマパーク

アジアパークの目玉は、全長460メートルの水路をボートで巡る「アジアクルーズ」でした。水路の両岸には、タージ・マハルやアンコール・ワット、万里の長城など、アジア各国の有名な遺跡や建築物のミニチュアが1/2から1/25のスケールで精巧に再現されていました。その他にも、アジア関連の飲食・物産店が並ぶ「アジアモール」が併設され、中国雑技団やアジア舞踊などのショーが開催され、来場者を楽しませました。イメージキャラクターは孔雀の「アピア」、イメージソング「アジアン・パラダイス」はタケカワユキヒデが作曲しました。

経営の苦境と閉園

しかし、アジアパークの経営は当初から苦難の連続でした。開園当初こそ、目標を上回る入場者数を記録しましたが、早くも開業1年目には3億円以上の損失を計上しました。2年目には来場者数は半減し、施設内容の物足りなさからリピーターの確保も困難でした。テナントの撤退も相次ぎ、経営は悪化の一途をたどりました。1998年（平成10年）には、正規従業員を解雇し、アジアクルーズの水路を埋め立ててゴーカートのコースに改装するなど、打開策を講じましたが、入場者の減少は止まりませんでした。2000年（平成12年）には、荒尾市からの補助金が打ち切られ、事業継続は困難となり、8月31日に会社解散が決議されました。10月には、約31億円の負債を抱えてアジアパークは閉鎖され、運営会社も解散しました。

閉園後の遺産

アジアパークの閉鎖後、荒尾市は多額の公金を投入して損失補償を行いましたが、住民からは公金返還を求める訴訟が起こされました。しかし、裁判所は住民側の訴えを退けました。アジアモールの跡地の一部はパチンコ店に売却され、残りの部分は廃墟と化し、テレビ番組で取り上げられるなど、廃墟マニアの間で知られるスポットとなりましたが、2018年頃から整地され、現在は広大な平地となっています。

アジアパークの教訓

アジアパークの盛衰は、地方経済の活性化を目指したテーマパーク経営の難しさを示す事例として、多くの教訓を残しました。安易な計画、甘い見通し、そして第三セクターによるずさんな経営体質が、その失敗の要因として挙げられます。アジアパークの跡地は、かつての賑わいを忘れ去られたかのように静まり返っていますが、その歴史は、地方創生のあり方を考える上で、貴重な教訓として語り継がれるべきでしょう。

関連項目

ネイブルランド - 同じく三井三池炭鉱閉山後の経済対策としてオープンし、短期間で閉鎖されたテーマパーク。
天華園 - 北海道登別市にあった中国風のテーマパークで、アジアパークとほぼ同時期に開園・閉園。
* ウルトラマンランド・九州わんわん王国 - アジアパークと同様に、グリーンランドに隣接して開園したテーマパーク（いずれも現存せず）。

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