タージ・マハル

タージ・マハル

タージ・マハル（ヒンディー語: ताज महल, ウルドゥー語: تاج محل‎, 英語: Taj Mahal）は、インドのアーグラに位置する美しい大理石の霊廟です。この壮麗な建物は、ムガル帝国のシャー・ジャハーン皇帝が愛妃ムムターズ・マハルのために1631年に建設を開始し、1653年に完成しました。タージ・マハルはインド・イスラーム文化の象徴とされ、1983年にユネスコの世界遺産に登録され、2007年に新・世界七不思議にも選ばれています。

背景

ムムターズ・マハルは、シャー・ジャハーンの愛妃として知られており、1631年に出産時に亡くなりました。彼女の死を悼み、後世に残る壮大な墓を作ることが彼女の遺言の一つでした。ムムターズの遺体はまずブルハーンプルで埋葬され、その後アーグラの都会に移され、霊廟の建設が始まりました。建設に際して、ムムターズ・マハルの一周忌に追悼式が行われ、1648年にはほぼ完成し、1653年に全ての工事が完了しました。

名称の由来

「タージ・マハル」は、ムムターズ・マハルの名前に由来します。彼女の名前はペルシャ語で「宮殿の光」や「宮廷の選ばれし者」という意味を持ち、タージ・マハルは「王冠の宮殿」を指します。また、地元では親しみを込めて「ビービー・カー・ラウザ」とも呼ばれ、これは「その貴婦人の廟園」を意味します。

構造

タージ・マハルは560m x 303mの長方形の敷地に広がり、南端には前庭があり、北には霊廟が建っています。霊廟を中心にモスクと集会場が配置され、四隅に高い尖塔があります。敷地内の庭園は、イスラーム式のデザインに基づいて整えられ、主要な水路が交差する形をしています。

大楼門

タージ・マハルの南側には大楼門が設けられ、赤砂岩で作られた高さ約30mの建物です。大きなアーチが特徴で、周囲には八角形の塔が配置されています。大楼門を過ぎると、広々とした庭園が広がり、4つの水路がシンメトリーを保ちながら流れています。

墓廟と尖塔

霊廟は、白い大理石で造られた美しい建物で、四つの尖塔が立ちます。内部の中央には、ムムターズ・マハルとシャー・ジャハーンの墓があり、訪れる人々を魅了します。墓廟の設計には、巧妙なアーチや装飾が施されており、様々な美しい貴石が嵌め込まれています。

建設

タージ・マハルの建設地には、アーグラ城塞からヤムナー川を越えたわずか1kmの場所が選ばれました。建設には、約2万人の労働者と多くの芸術家が関わり、インド中から様々な素材が集められました。この建物は、イラン、アラブ、ヨーロッパなど多くの地域の職人によって作り上げられました。

文化的意義

ムガル王朝の伝統に従い、タージ・マハルはイスラームの霊的中心として位置付けられています。墓は伊スラーム文化において重要視され、特に女性の愛と母性が重んじられる中、ムムターズ・マハルは特別な存在として扱われました。

観光名所

現在、タージ・マハルはインド観光の象徴であり、毎年数百万の観光客を魅了しています。訪問者は美しい景色や歴史的な背景を楽しむことができ、礼拝のためのモスクや集会所も併設されています。近年、環境問題や過剰な観光客による影響が懸念されていますが、政府は保護対策を講じています。

現在の状況

タージ・マハルは今なお美しさと神秘に満ちた文化遺産として、世界中の人々に愛されています。歴史や建築の魅力に触れることができる貴重な場であり、未来もその価値が継承されることを期待されています。

もう一度検索