アジア太平洋博覧会

アジア太平洋博覧会-福岡'89：福岡の記憶、そして未来へ

1989年、福岡市は活気に満ち溢れていた。福岡市制施行100周年を記念し開催されたアジア太平洋博覧会-福岡'89は、3月17日から9月3日までの170日間、早良区百道浜および中央区地行浜の臨海部で開催された地方博覧会である。この一大イベントは、アジアと太平洋地域をテーマに、日本国内外の多くの企業、団体、そして国家が参加し、歴史に残る賑わいを見せた。

博覧会の概要：国際交流と都市開発の融合

福岡タワーや福岡市博物館、西部ガスミュージアムといった、現在も親しまれる施設も、この博覧会に合わせて建設された。 博覧会は、日本国内1,056企業・団体、37ヶ国・地域と2国際機関からの出展を迎え、43館ものパビリオンが設置された。国内最大級の観覧車は、閉会後熊本県に移設され、現在も稼働している。会場へのアクセス道路として整備された幹線道路は「よかトピア通り」と名付けられ、博覧会の賑わいを今に伝えている。

オープニングセレモニーでは、夏木マリ主演のミュージカルが開催され、会期中にはフジテレビ系列の「笑っていいとも！」の生中継も行われるなど、盛況を極めた。博覧会の愛称である「よかトピア」は、九州の方言である「良い」と「余暇」を組み合わせたもので、九州全体の祭典としての雰囲気を醸し出した。博覧会は「新しい世界のであいを求めて」をテーマに、自然、歴史、文化、経済、技術といった多様な側面から、アジア太平洋地域との交流を深めた。

閉会後には「よかトピア記念国際財団」が発足し、国際交流事業や文化賞の贈呈など、博覧会の精神を受け継ぐ活動が続けられている。

会場とパビリオン：多様な文化と技術の展示

78ha（主会場40ha）という広大な会場には、多様なパビリオンが点在していた。アジア太平洋ゾーンでは、650mの川や人工海浜が設けられ、エキゾチックな空間演出がなされた。

代表的なパビリオン

芙蓉グループバードカントリー: アジア太平洋地域の鳥類を展示し、自然と生命の尊さを訴えた。閉幕後は多くの鳥が福岡市動植物園に寄贈された。
ハートピアフラワーパラダイス: 温室パビリオンでアジア太平洋地域の珍しい植物を展示した。
三和みどり・エスニックワールド: アジア各国の文化・歴史・民族を紹介するエリアで、ネパール館やチョモランマ体験館などもあった。
とうきゅうトロピカル・ビレッジ: 太平洋諸国の伝統的生活文化を紹介した。
福岡市「福岡鴻臚館」: 福岡の歴史と国際交流を紹介したパビリオン。
中国館、ソウル館、ニュージーランド館: 各国の文化や産業を紹介。
アジア館、アセアン・ゾーン: スリランカ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、インド、香港、ブータン、パキスタンなど、多くのアジアの国・地域が出展した。

他にも多くの企業や団体が独自のテーマでパビリオンを設け、科学技術、文化、自然、そして未来社会への展望を紹介した。松下館の大型マルチ映像による宇宙旅行体験や、富士通ドームシアターの全天周映像による宇宙と生命の営み、NECのC&C技術を使った双方向シアターなども印象的だった。

イベントとエンターテイメント：多彩な催し物で来場者を魅了

博覧会期間中は、様々なイベントが開催された。リゾートシアターでは、大規模なミュージカルやコンサート、そして歌謡祭などが行われ、多くの著名なアーティストが出演した。エスニック・パフォーマンスプラザでは、アジア各国の民族舞踊などが披露され、来場者は異文化に触れる機会を得た。その他、パビリオン内や会場周辺では、大道芸、山笠、花火大会などのイベントが開催され、活気に満ちた雰囲気を作り出した。

アクセスと会場内輸送：来場者の利便性を考慮した整備

会場へのアクセスは、西鉄バス、昭和バス、福岡市営地下鉄、JR九州などが充実した交通網を整備。JR九州は博覧会に合わせて新型車両を導入し、期間限定で博多臨港線を旅客運行するなど、大きな貢献を果たした。会場内では、日本初となるガイドウェイバス「デュエット号」が無料運行され、来場者の移動をスムーズにした。

経済効果とレガシー：福岡発展の原動力

アジア太平洋博覧会-福岡'89は、経済効果だけでなく、福岡市の都市開発や国際交流にも大きな貢献をした。博覧会を契機に整備されたインフラや施設は、現在も福岡市の発展に役立っており、そのレガシーは、現代の福岡の礎となっている。

参考文献

アジア太平洋博覧会-福岡'89公式記録（アジア太平洋博覧会協会 1990年）
* よかトピア開催20周年特集 - 西日本新聞

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