ブータン

ブータン王国について

ブータン王国（英: Kingdom of Bhutan、ゾンカ語: འབྲུག་ཡུལ་）は、南アジアのヒマラヤ山脈に位置し、豊かな自然と独自の文化を持った立憲君主制の国家です。首都はティンプーで、北側は中国、東西南はインドと接しています。国教は仏教であり、主にチベット系民族が暮らし様々な言語が話されています。ブータンは「雷龍の国」と称され、その名は仏教と深く結びついています。

歴史

ブータンの歴史は、13世紀にさかのぼります。この時期、チベット仏教の影響が強まり、ドゥク・カギュ派が広まりました。代表的な教団となったこの宗派は、国内の宗教的対立から王政の基盤を築く上で重要な役割を果たしました。特に、1616年にガワン・ナムゲルが南部モン地方に政権を樹立したことで、以後のブータンは独立した国家として認識されるようになりました。1772年、インドからの侵攻を受けたブータンはイギリスとの関係が始まり、数度の戦争を経て1865年にはシンチュラ条約を締結しました。これにより、ブータンの外交権がイギリスの監視下に置かれることになりました。

20世紀に入り、ブータンは1961年に初めての社会経済開発計画を策定し、1971年には国際連合に加盟しました。2008年には新憲法を採択し、正式に立憲君主制を導入しました。

政治と制度

ブータンは議会制民主主義を採用し、国王を中心とした政治システムが構築されています。立法機関は二院制を採用し、国民議会（下院）と国家評議会（上院）で構成され、国民の代表が選出されます。国王は内政には干渉せず、外交権を有しています。ブータンは国民総幸福量（GNH）という独自の理念を掲げ、経済的発展よりも国民の幸福を重視した政策を進めています。

経済

経済は農業が中心で、日本の約36%を占め、また水力発電による電力の輸出が主要な収入源です。観光も重要な産業ですが、特に高品質で環境に配慮した観光政策がとられています。また、国連基準により、後発開発途上国から開発途上国へと位置づけが変更され、経済の発展も見込まれています。

文化と社会

ブータンの文化は仏教に大きく影響されており、祭りや伝統行事が盛んです。特にツェチュ祭りは、国民が集まる重要なイベントで、宗教的な意義を持っています。また、民族衣装や食文化には独特の特性があり、食事には赤米やトウガラシが多く使われます。

ブータン人は誇り高く、自国の文化と伝統を大切にしています。国民の幸福に対する信念は、「不を基にした生き方」としても表現され、ブータンを「幸せの国」として有名にしています。

国際関係

ブータンは非同盟的な姿勢を保ちつつ、インドとの関係を重視しています。国際社会においても独自の立場を持ち、中国との係争地問題も残されています。ただし、近年は地域の安定を図るため、周辺国との外交関係構築にも努力をしています。ブータンは自身の文化や伝統を守りつつ、国際社会での役割を模索している国です。

このように、ブータン王国はその独自の文化、歴史、政治体制を持った国であり、国民総幸福量に基づく幸福な社会を目指していることが特徴です。

もう一度検索