アジア太平洋言語学オリンピック

アジア太平洋言語学オリンピック (APLO) について

アジア太平洋言語学オリンピック（Asia Pacific Linguistics Olympiad、APLO）は、アジア太平洋地域における言語学の才能を発掘し、育成することを目的とした競技会です。この大会は、参加者が未知の言語のデータから規則性を発見し、それに基づいて新しい語形を予測する能力を競い合います。

APLOは単なる競技会ではなく、国際言語学オリンピック（International Linguistics Olympiad、IOL）への重要なステップとしての役割も担っています。具体的には、APLOはIOLに出場する日本代表選手を選出するための実質的な2次予選大会として機能しています。

大会の概要

APLOは、通常3月末から4月初頭にかけて開催されます。参加者は、各国のサテライト会場またはオンライン会議システムを利用したバーチャル方式で競技に参加します。

競技では、参加者は未知の言語のデータとそれに対応する翻訳文を分析します。そこから、音韻論、形態論、統語論、命数法、文字、親族名称など、言語学の様々な分野に関する法則を導き出すことが求められます。そして、その法則を用いて、提示された言語における新たな語形を推測します。

競技形式はIOLとほぼ同じであり、回答だけでなく、導き出した法則を文章や表で説明する必要があります。制限時間は5時間で、通常5つの問題が出題されます。参加者は、問題文や解答を作成する際に使用する言語を選択できます。

歴史

APLOは、アジア太平洋地域における言語および言語学への関心を高めることを目指し、2019年に第1回大会が開催されました。以来、日本においては、国際言語学オリンピックに進出する代表選手8名を選抜する重要な選考の場となっています。

• - APLO2019: 2019年5月5日に開催され、10の国と地域から250人が参加しました。
• - APLO2020: 新型コロナウイルス感染症の影響により、当初の4月開催から9月27日に延期。バーチャル方式も導入され、6つの国と地域から97人が参加した他、5つの国と地域から60人がゲスト参加しました。IOL2020が中止となったため、実質的にAPLO2020が国際大会の代わりを務めました。
• - APLO2021: 2021年3月28日に開催。6つの国と地域から182人が参加し、6つの国と地域から423人がゲスト参加しました。
• - APLO2022: 2022年4月10日に開催。8つの国と地域から213人が参加し、7つの国と地域から249人がゲスト参加しました。
• - APLO2023: 2023年4月9日に開催。8つの国と地域から222人が参加し、9つの国と地域から166人がゲスト参加しました。

組織体制

APLOは、国際委員会、国際審判、各国組織委員会、各国審判によって組織されています。

国際委員会メンバー: Monojit Choudhury, Minkyu Kim, Suhaimi Ramly, Shu-Kai Hsieh, Rujul Gandhi, Vlad Neacsu (国際審判長), Simona Klemenčič (広報長)

参加資格

参加資格は、IOL開催時点で20歳未満であり、大学教育を受けていないことです。個人での応募はできず、各加盟国の組織委員会を通じて応募する必要があります。日本からの参加は、日本言語学オリンピックの選抜枠での上位成績者が選出されます。

大会成績と受賞

参加者数、参加国数ともに年々増加しており、2023年現在の延べ参加者数は1862人に達します。日本からの参加者は正規参加国の中で最多の185人、ゲスト参加国を含めるとシンガポールが284人と最多です。

各正規参加国の上位8名が公式参加者として認定され、成績に応じて金賞、銀賞、銅賞、努力賞が授与されます。各賞のボーダーラインは参加者全体の平均値と標準偏差に基づいて決定されますが、国内での順位も考慮されます。ゲスト参加者には賞は授与されません。

関連情報

• - 国際言語学オリンピック: 国際大会(本選)
• - 日本言語学オリンピック: 国内予選(1次予選)
• - 国際科学オリンピック

外部リンク

• - アジア太平洋言語学オリンピック 公式サイト
• - アジア太平洋言語学オリンピック Facebook
• - アジア太平洋言語学オリンピック Twitter
• - ことはじ - 有志による問題集

この大会は、言語学への情熱と論理的な思考力を試す絶好の機会であり、国際舞台での活躍を目指す若き才能にとって、貴重な経験となるでしょう。

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