国際言語学オリンピック

国際言語学オリンピック（IOL）とは

国際言語学オリンピック（International Linguistics Olympiad、略称IOL）は、中等[[教育]]までの生徒を対象とした、言語学に基づいた問題を解く能力を競う国際的な競技大会です。国際科学オリンピックの一つとして、計算言語学、理論言語学、記述言語学の各分野の発展を目的としています。

大会の概要

競技では、未知の言語のデータとそれに対応する翻訳が与えられ、参加者はそこから言語の法則を導き出し、未知の語形を推測する能力が試されます。出題範囲は主に言語学の分野で、音声学、形態論、意味論、統語論、社会[[言語学]]などが含まれます。

他の多くの科学オリンピックとは異なり、IOLには個人戦と団体戦の両方があります。個人戦は制限時間6時間で5問を解き、団体戦は4人1組のチームで3〜4時間かけて1問を解きます。団体戦の制限時間は年によって異なります。

問題文は参加者の母語に翻訳され、母語で解答できます。出題される言語は、特定の参加者に有利にならないよう、知名度の低い言語が選ばれる傾向があります。また、人工言語や架空の言語は用いられません。ただし、過去には新体操の技を記録する表記体系のような例外的な題材も出題されています。

参加国は東欧や北欧が中心ですが、近年はアジアやその他の地域からの参加も増えています。日本は2012年から参加しており、2008年には韓国がアジアで初めて参加、2009年からはインドも参加しています。東南アジアやアフリカからの参加国はまだ少ないため、これらの地域の言語が問題として出題されることが多いです。

参加資格

IOLの競技者は、20歳未満で大学に在籍していない必要があります。各国代表として選ばれるには、国際委員会に承認された国内予選を通過する必要があります。日本では、日本言語学オリンピック（JOL）を通過後、アジア太平洋言語学オリンピック（APLO）で上位8名に入ることが代表選出の一般的な方法ですが、他国の国内予選を通過して他国の代表となることも可能です。

歴史

IOLの起源は、1965年にモスクワで言語学者アルフレッド・ジュリンスキーの提唱により開催された、中学生向けの言語学オリンピックに遡ります。この初期の大会は、数学者ウラジーミル・アンドレヴィッチ・ウスペンスキー、言語学者アレクサンドル・キブリックらによって運営されました。1982年までモスクワ大学で定期的に開催され、1988年にロシア国立人文大学で再開されました。

1989年以降は両大学が共同で開催し、1989年から1991年にはモスクワ国立言語大学も加わりました。1996年からは、サンクトペテルブルク大学でも同様の大会が開催されています。また、1982年以降、ブルガリアでも定期的に言語学オリンピックが開催されており、これらの大会間で選手の交流も行われていました。

IOLの歩み

IOL2003: 第1回大会はブルガリアのボロヴェツで開催され、ブルガリア、チェコ、エストニア、ラトビア、オランダ、ロシアの6か国が参加しました。

IOL2004: 第2回大会はロシアのモスクワで開催され、ポーランド、セルビア・モンテネグロが初参加しました。

IOL2005: 第3回大会はオランダのライデンで開催され、フィンランドとルーマニアが初参加しました。

IOL2006: 第4回大会はエストニアのタルトゥで開催され、リトアニアが初参加しました。

IOL2007: 第5回大会はロシアのサンクトペテルブルクで開催され、スペイン、スウェーデン、アメリカ合衆国が初参加しました。

IOL2008: 第6回大会はブルガリアのサニービーチで開催され、ドイツ、スロベニア、韓国が初参加しました。

IOL2009: 第7回大会はポーランドのヴロツワフで開催され、オーストラリア、イギリス、インド、アイルランドが初参加しました。

IOL2010: 第8回大会はスウェーデンのストックホルムで開催され、ノルウェーとシンガポールが初参加しました。

IOL2011: 第9回大会はアメリカのピッツバーグで開催され、ブラジル、カナダ、アラブ首長国連邦、ベトナムが初参加しました。

IOL2012: 第10回大会はスロベニアのリュブリャナで開催され、中国、ギリシャ、ハンガリー、イスラエル、日本が初参加しました。

IOL2013: 第11回大会はイギリスのマンチェスターで開催され、マン島、台湾、トルコが初参加しました。

IOL2014: 第12回大会は中国の北京で開催され、パキスタン、ウクライナが初参加しました。

IOL2015: 第13回大会はブルガリアのブラゴエヴグラトで開催され、バングラデシュ、フランス、カザフスタンが初参加しました。

IOL2016: 第14回大会はインドのマイソールで開催され、スリランカが初参加しました。

IOL2017: 第15回大会はアイルランドのダブリンで開催され、カナダ（フランス語圏）が初参加しました。

IOL2018: 第16回大会はチェコのプラハで開催され、マレーシア、デンマークが初参加しました。

IOL2019: 第17回大会は韓国の龍仁市で開催され、ネパール、香港、ウズベキスタン、コロンビアが初参加しました。

IOL2021: 第18回大会はオンラインで開催され、アゼルバイジャンが初参加しました。

IOL2022: 第19回大会はマン島のキャッスルタウンで開催され、モルドバ、スイス、タイが初参加しました。

メダリストとメディア掲載

2022年現在、金メダルを1つ以上獲得している国々が複数存在します。また、過去には「The Age」紙に「意味論かもしれないが、言語学はチームイベントになることができる」という記事が掲載されました。

外部リンク

- 国際言語学オリンピック
- 日本言語学オリンピック
- IOL日本非公式サイト

この内容は、国際言語学オリンピックに関する詳細な情報を提供し、大会の歴史、参加資格、競技内容などを理解する上で役立つでしょう。

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