アジップ

アジップ（Agip Petroli S.p.A.）

アジップは、1926年にイタリア政府が60％の出資を行い設立された国営石油会社です。その正式名称である「Azienda Generale Italiana Petroli」は、イタリア語で「イタリア石油公団」という意味から成り立っています。企業としては、エネルギー大手のエニ（Eni）を親会社とし、国際的に油田の探査、精製、そして石油製品の物流および販売を展開していました。アジップは、300以上の関連企業を持つ大規模なエネルギー企業としての役割を果たし、2003年にエニに吸収合併されました。

歴史

アジップの設立当初、イタリアは石油探鉱に対してあまり関心を持っておらず、他国のように資源を保有しているわけではありませんでした。国内、ルーマニア、アルバニア、ソマリアなどで探鉱を行ったものの、大きな成果は上げられませんでした。第二次世界大戦後、政府は民間資本による石油産業の再建を図り、アジップには石油の精製と販売を禁じ、会社の清算を命じました。しかし、当時のエニの初代社長であるエンリコ・マッティはこの清算に反対し、探鉱活動を進めます。その結果1949年にはコルテマッジョーレの大ガス田を発見し、権利をアジップに与えることが議会で承認されました。これによりアジップの経営基盤は強化され、1953年にエニが創設され、マッティはその初代総裁となりました。

モータースポーツとの関わり

アジップはモータースポーツ活動においても重要な役割を果たしています。MotoGPやSBKを初めとするパワーボート競技、ツーリングカー、フォーミュラ1（F1）など、多岐にわたるモータースポーツを支援してきました。F1では1974年から1995年までの間、フェラーリへの技術サポートを行い、さらにブラバム、アルファロメオ、ティレル、ミナルディ、そしてベネトンなどの名チームへもサポートを提供しました。

Eniブランドへの移行

アジップは合併後もブランドを維持していましたが、2010年にエニとのブランド統合が行われ、エンジンオイルはAgipブランドからEniブランドに移行しました。日本においても2011年から統一されたブランドが導入され、4月にはEniブランドの商品が順次販売されるようになりました。ただし、Agipの象徴である「6本脚の犬」は、Eniのマークとしても使用され続けているため、デザインの変更はありません。

アジップの歴史は、イタリアのエネルギー産業の発展とともに歩んできたものであり、その名残は現在でも様々な形で残っています。

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