アジポッド

アジポッドとは

アジポッド（Azipod）は、ABBによって開発・生産されるアジマススラスターのブランド名であり、海洋輸送分野における革新的な技術である。この技術の起源は、フィンランドにあるバルチラ造船所の船舶推進部門で開発された電気推進システムに遡る。

概要と普及状況

2010年の時点で、94隻の船舶がアジポッドを搭載しており、その総数は201基に達する。アジポッドを使用することで、従来の推進方式と比較して燃費が最大18%改善されることが確認されている。これはアジポッドがポッドの形状を工夫し、流体力学的に最適化された結果である。

アジポッドには、CRP（同軸反転プロペラ）型が存在し、これは固定ピッチプロペラと反対方向に回転するプロペラを組み合わせることで、推進効率を向上させている。このCRPアジポッドは、特定のフェリーで採用されており、その成功例が注目されている。

特徴と利点

アジポッドの最大の特徴は、エンジンからの動力をギアではなく、電力に変換して推進する点にある。このため、ギアによる伝達損失がなくなり、信頼性と効率が向上する。また、長大なシャフトが不要となり、船内の空間をより自由に使えるようになり、船体のデザインを流体力学に基づいて最適化することが可能になる。アジポッドは、どの方向にも電力を供給できるスリップリングを通じて電力を受け取ることができ、推進力を調整するためにVVVFインバーターを利用している。

船型の革新

あるいは、アジポッドは双方向推進機能を持っており、これによって前後に同じ速度で運航することが可能である。この技術は1990年代にバルチラ造船所で開発されました。この双方向推進船は、片側が砕氷機能を兼ね備えた船首で、もう片側が通常のタンカーとしての用途に適した船首である。

耐氷性と実績

アジポッドは、米国沿岸警備隊の砕氷船などで使用されており、耐氷性を備えたポッド式推進機の一つとして知られている。最初にアジポッドを搭載した船は、1990年にフィンランド海事局の水路監視艇Seiliであり、この技術の進化を示す代表的な例である。現在でもその開発の歴史は続いており、重要な役割を果たしている。

課題と改善

一方で、アジポッドV設計には就航当初において問題が指摘されたこともある。特に、カーニバル パラダイス号での航路逸脱事故は、推進軸受けの問題が原因であった。その後、アジポッド搭載船舶には多くの改善が行われ、最新設計のアジポッドXでは、整備の周期が延び、内側からの修理も可能になるなど、効率が格段に向上している。

未来の展望

今後、アジポッドに搭載される新しい船舶には、アイーダ・クルーズ向けの3,250人乗り客船や、ノルウェージャンクルーズの新型船が含まれる。これらの進展により、アジポッドは今後の海上輸送の重要な技術として位置づけられることが期待される。

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