アジマススラスター

アジマススラスターについて

アジマススラスター（英: azimuth thruster）は、船舶における推進装置の一種で、特に水平方向に360度回転可能なポッド形状の装置にプロペラを組み合わせたものです。この技術は、船舶が様々な方向に自由に移動できるように設計されており、特にタグボートや掘削船、海底ケーブル敷設[[船]]、掃海艇などの作業船において重要な役割を果たしています。また、ジョイスティックを利用した操作が可能になり、プレジャーボートでもその利用が増加しています。

機能と利点

アジマススラスターの特徴は、従来の固定軸プロペラや舵を使った推進方式とは異なり、船の進行方向を任意に選択することができる点です。特に、スムーズな操船が要求される大型船舶においても、その機動性が大きなメリットとなります。

アジマススラスターは、通常、船の船尾左右に配置されることが一般的ですが、船首に配置される例も見られます。代表例としては、掘削船「ちきゅう」があり、前後にそれぞれ3基のアジマススラスターを装備しています。この配置により、小半径での旋回や離接岸の際の水平移動が容易に行えるため、大型船舶でもタグボートの支援なしで出入りできるようになります。

種類と原動機の配置

アジマススラスターは、推進動力の供給方法によって大きく二つのタイプに分かれます。ひとつは、船内の原動機に直結した動力軸を利用し機械的に動力を伝達する方式（Z-drive）です。もうひとつは、プロペラと直結した電気モーターをポッド内に設置し、船内の発電装置から供給される電力を用いる電気推進方式です。

近年の進展と普及

近年では、パワーエレクトロニクスの進化により、交流[[電動機]]を用いる電気推進との統合が進んでいます。これにより、機械的伝達軸を排除することが可能になり、以下のようなメリットが生まれています：

• - 水流力学的に船体を最適化し、機械的損失やメンテナンスコストを削減できます。
• - 複数の推進器を携えることで、機動性や耐候性が向上します。
• - 特に定位置での作業が求められる海洋掘削船などに対し、簡単に定点を保持できます。

注意点

ただし、アジマススラスターにはいくつかの注意点も存在します。従来の伝達軸を使用した推進装置に比べて実績が少ないため、アジマススラスターに関する故障が報告されています。それでも、様々な場面で採用が進んでおり、バウスラスタやスターンスラスタとともに船舶の操船性を劇的に向上させる技術として注目されています。

関連技術

関連技術には、サイドスラスターやシュナイダープロペラ、アジポッド（アセア・ブラウン・ボベリの電気推進式装置）などがあります。特に、これらの技術は実用的な用途において異なる特性や利点を持ちながら、同様の機能を提供しています。

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