バルチラ

バルチラ：海とエネルギーを動かすグローバル企業

バルチラ（Wärtsilä Corporation）は、フィンランドに本社を置く、船舶用エンジンやエネルギー関連製品の製造・販売、そしてサービスを提供するグローバル企業です。1834年の製材所創業から発展を遂げ、現在では世界80カ国以上に事業拠点を展開し、約18,000人の従業員が活躍しています。日本法人であるバルチラジャパン株式会社は、神戸、東京、富山、今治に事業所を構えています。

事業内容：海事産業とエネルギー市場の両輪

バルチラの事業は大きく3つに分類されます。売上高の約半数を占めるのは、船舶向け機械の顧客サービスです。これは、同社の製品の信頼性と長期的なサポート体制の高さを示しています。次いで発電プラント事業が約3割、そして船舶用エンジンの開発・製造が約2割を占めています。地域別では、アジアが最大の市場となっており、ヨーロッパを上回るシェアを獲得しています。

舶用エンジン：世界シェアトップクラスの技術力

バルチラは、舶用中速4ストロークディーゼルエンジンの分野で、世界トップクラスのシェアを誇ります。ライセンス生産品も含めた生産量の出力ベースで業界をリードしています。特に、大型船舶向けに製造されている「バルチラ-スルザー RTA96-C」エンジンは、その代表的な製品として知られています。これは、14気筒の2ストロークユニフロー掃気ディーゼルエンジンで、高い出力と信頼性を誇ります。

革新技術：アジポッドの開発

バルチラは、革新的な電気推進システムであるアジマススラスター「アジポッド」の原型を開発した企業としても知られています。この技術は、現在ABBグループによって販売されていますが、バルチラの船舶推進技術の革新性を示す重要な事例です。

沿革：製材所からグローバル企業へ

バルチラの歴史は、1834年、フィンランドのトホマヤルヴィで設立された製材所へと遡ります。その後、製材所に隣接して鉄工所が建設され、1907年には社名を「Wärtsilä Ab」から「Ab Wärtsilä Oy」に変更。20世紀には、幾度かの事業買収や合併を経て、現在のグローバル企業へと成長しました。1931年には経営危機に陥ったものの、翌年には回復し、その後も積極的に買収戦略を行い、ディーゼルエンジン事業の拡大を図ってきました。特に、1997年のスルザーのディーゼルエンジン部門買収は、バルチラの成長に大きな転換点となりました。2016年には低速エンジン製造から撤退しましたが、サービス部門は継続し、顧客へのサポート体制は維持されています。

バルチラの未来：持続可能な社会への貢献

バルチラは、海事産業とエネルギー市場における技術革新を牽引する企業として、今後も持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されています。デジタル化への取り組みも積極的に進めており、効率性と信頼性の向上に努めています。船舶の環境負荷低減に向けた技術開発にも注力し、世界的な環境問題解決に貢献していくでしょう。

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