アスク・ミー・ホワイ

アスク・ミー・ワイ：ビートルズの隠れた名曲

1963年、ビートルズのシングル盤『プリーズ・プリーズ・ミー』のB面として世に送り出された「アスク・ミー・ワイ」。この曲は、ジョン・レノンが中心となって制作され、ポール・マッカートニーとの共作名義で発表されました。アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』にも収録されており、ビートルズ初期の代表曲の1つとして知られています。

スモーキー・ロビンソンからの影響と楽曲の構成

「アスク・ミー・ワイ」は、1962年初頭にレノンによって作曲されました。レノンは、スモーキー・ロビンソン＆ザ・ミラクルズの音楽に強い影響を受けており、そのスタイルを巧みに取り入れています。特に、イントロのギターフレーズはザ・ミラクルズのヒット曲「ホワッツ・ソー・グッド・アバウト・グッバイ」を彷彿とさせます。

楽曲は4分の4拍子で、Eメジャーを基調としながらも、時折C#メジャーへ転調するなど、変化に富んだ構成となっています。音楽評論家のアラン・ポラックは、この曲の構造的な複雑さを指摘し、異なる目的を持つ3種類のヴァースが巧みに配置されていると評しています。マッカートニー自身も、この曲はレノンのアイデアが中心であり、2人で協力して完成させたものであると語っています。

幾多のレコーディングセッション

「アスク・ミー・ワイ」は、1962年6月6日に行われたビートルズ初のパーロフォン・レコーディング・セッションで初めて録音されました。この時のドラムは、当時のドラマーであるピート・ベストが担当しました。しかし、このセッションはテスト段階のものであり、マスター音源としては不採用と判断されました。そのため、当初はテープが廃棄されたと考えられていましたが、後に「ベサメ・ムーチョ」や「ラヴ・ミー・ドゥ」と共に収録されたアセテート盤が発見されました。

その後、リンゴ・スターがドラマーに加入した1962年11月26日、シングル『プリーズ・プリーズ・ミー』と共に再録音されました。このセッションでは、当初B面候補とされていた「ティップ・オブ・マイ・タン」のリハーサルも行われましたが、プロデューサーのジョージ・マーティンが手直しが必要と判断したため、この曲はB面から外れ、後に別のアーティストに提供されました。

さらに、1963年にはBBCラジオ番組『Pop Go The Beatles』のために2回にわたって録音が行われました。このうち、9月3日に録音されたバージョンは、2013年に発売された『オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2』に収録されています。

世界への発信とカバー

当初、アメリカでの発売権はキャピトル・レコードが有していましたが、同社はリリースを見送りました。そのため、シングル『プリーズ・プリーズ・ミー』はヴィージェイ・レコードから1963年2月25日に発売され、その後、ヴィージェイ編集盤『Introducing... The Beatles』にも収録されました。キャピトルは、ヴィージェイとの契約終了後の1965年に編集盤『ジ・アーリー・ビートルズ』を発売し、本作を収録しました。

また、1977年には非公式ライブアルバム『デビュー！ビートルズ・ライヴ'62』に、1962年12月のスター・クラブ公演のライブ音源が収録されています。

「アスク・ミー・ワイ」は、日本でも多くのアーティストによってカバーされています。代表的な例として、竹内まりやのベストアルバム『VIVA MARIYA!!』（1982年）、スミザリーンズのカバーアルバム『B-Sides the Beatles』（2008年）、ビル・アンシェルのアルバム『Figments』（2011年）などに収録されています。

このように、「アスク・ミー・ワイ」は、ビートルズの初期の楽曲の中でも、その音楽性と歴史的背景から注目に値する、重要な作品となっています。

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