アスタロ

アスタロ（Astaro）は、2000年に設立され、2011年まで存在したコンピュータセキュリティに特化したネットワーク・アプライアンスの製造・販売企業です。ドイツとアメリカの2箇所に本社を構え、グローバルに事業を展開していました。

主力製品である「Astaro Security Gateway」シリーズは、ソフトウェアとハードウェアが一体となったアプライアンス製品であり、ファイアウォール、VPN、侵入防御システム（IPS）など、多様なセキュリティ機能を包括的に提供していました。中小企業から大企業まで、幅広い規模の企業で採用され、その導入実績は30,000社を超えていました。

アスタロは、オープンソースコミュニティとの緊密な連携を重視し、製品開発にその成果を積極的に取り入れていました。しかし、ビジネスモデルはソフトウェアライセンス販売であり、オープンソースソフトウェアをベースにしつつも、独自の付加価値を提供することで収益を上げていました。MySQL ABやJBossといった企業とともに、第二世代のオープンソース企業の一つとして位置づけられていました。

アスタロが資金を提供していたオープンソースプロジェクトとしては、Netfilter、ClamAV、Openswan、strongSwan、OpenVPNなどが挙げられます。これらのプロジェクトは、ネットワークセキュリティにおける重要な基盤技術を提供しており、アスタロの製品開発にも大きく貢献していました。また、2006年4月6日からは、セキュリティ専門家であるスティーブ・ギブソン氏のポッドキャスティング番組「Security Now!」のスポンサーを務めており、セキュリティ業界での認知度向上にも努めていました。

2011年、アスタロはセキュリティソフトウェア大手のソフォス社（Sophos）に買収されました。これにより、アスタロが開発・提供していた製品およびサービスはソフォスの製品群に統合され、「Sophos UTM」として新たなブランドで展開されるようになりました。アスタロの技術力とソフォスのグローバルな販売網が組み合わさることで、より幅広い顧客層に高度なセキュリティソリューションを提供することを目指しました。アスタロが長年培ってきた技術は、ソフォスの製品に引き継がれ、現在も多くのユーザーに利用されています。

アスタロの事業は終了しましたが、その技術と理念はソフォスに受け継がれ、ネットワークセキュリティ業界に影響を与え続けています。特にオープンソースソフトウェアを活用したセキュリティアプライアンスの開発における先駆者としての功績は、今日の多くのセキュリティ製品に影響を与えています。

アスタロの公式サイトは、現在ではソフォスのサイトにリダイレクトされます。日本でのアスタロ製品取り扱い業者についても、現在ではソフォスのパートナー企業がその役割を担っています。

参考情報：
日本語版公式サイト
User community
日本でのアスタロ製品取り扱い業者

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