MySQL AB

MySQL AB：オープンソースデータベースの先駆者

MySQL ABは、1995年に設立されたデータベース管理システム「MySQL」の開発・販売企業です。スウェーデンのウプサラとアメリカ合衆国カリフォルニア州クパチーノに本社を置き、パリ、ミュンヘン、ダブリン、ミラノ、東京など世界各地にオフィスを構えていました。

同社は、オープンソースソフトウェアの開発者として世界最大規模を誇り、25カ国に400人の従業員を擁していました。特に、従業員の約70％がテレワークでMySQLの開発に携わっていたことは特筆に値します。

サン・マイクロシステムズによる買収

2008年1月16日、MySQL ABはサン・マイクロシステムズに約10億ドルで買収されることに合意しました。この買収は同年2月26日に完了し、MySQL ABは歴史に幕を閉じました。しかし、MySQL自体はその後も広く利用され続け、現在に至っています。

MySQLとLAMP構成

MySQLは、Linux、Apache HTTP Server、PHPと共に、Webアプリケーション開発の基盤となる「LAMP」構成の重要な要素の一つです。2004年には全世界で500万件以上のインストール、1000万件以上のダウンロードを記録するなど、その普及率は非常に高いものでした。

ビジネスモデル：第二世代オープンソース企業の代表

MySQL ABは、オープンソースソフトウェア企業の「第二世代」の代表格として位置づけられます。第一世代、第二世代のいずれも、製品サポート、コンサルティング、トレーニングなどから収益を得る点は共通していますが、第二世代の特徴は「デュアルライセンス」を採用している点にあります。

MySQL ABは、MySQLをGNU General Public License（GPL）の下で無償で提供していますが、GPLが適さない顧客向けには商用ライセンスも販売しています。これにより、柔軟なライセンス体系を提供しつつ、収益を確保していました。

さらに、MySQLのサポート、コンサルティング、トレーニング、サーバーの認証サービスなども提供し、収益源を多角化していました。また、MySQL Enterpriseという名称で、ライセンスベースの製品も提供し、デル、ヒューレット・パッカード、ノベルなどの企業とも提携していました。

歴史

1995年：ミカエル・ウィデニウス、デビッド・アクスマルク、アラン・ラーソンによって設立
2001年：マーチン・ミコスがCEOに就任
2001年：スカンジナビアのベンチャーキャピタルから最初の資金調達を実施
2003年：ベンチマークキャピタル率いる投資家グループから資金調達を実施
2003年：SAP DBの商業的権利を取得し、SAP AGとの提携を解消
2003年：エリクソンの子会社であるAlzatoを買収
2005年：MySQL Network登録サービスを開始
2006年：インテル、レッドハット、SAP AGなどから資金調達
* 2008年：サン・マイクロシステムズに買収され消滅

まとめ

MySQL ABは、オープンソースデータベースの普及に大きく貢献した企業です。その革新的なビジネスモデルと技術力は、現在のオープンソースソフトウェア業界にも大きな影響を与えています。同社の歴史は、オープンソースソフトウェアがビジネスとして成功するための重要な教訓を提供しています。

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