アストンマーティン・V8

アストンマーティン V8

アストンマーティン V8は、1972年から1989年まで生産された英国のスポーツカーブランドによる名作です。このモデルは、主任技師マレック氏が手掛けたDBS V8を基にしており、全5モデル（Sr.1からSr.5）から構成されています。このV8は、アストンマーティンの生産ラインにおいて重要な役割を果たし、特にその独特なデザインや性能で知られています。

デザインの特長

V8のデザインは、前モデルであるDBS V8とは大きく異なり、特にノーズ部分のスタイリングが新しいアプローチを示しています。1971年にデヴィッド・ブラウンから経営権が譲渡され、新たな方針のもとで設計されたこのモデルには、DBシリーズの名は与えられませんでしたが、その基本設計はDBシリーズからの流れをくんでいます。

また、伝統的なシューティングブレークスタイルも取り入れられており、1977年からはハイパフォーマンスなV8ヴァンテージが製造されています。このV8ヴァンテージモデルは、0-60mph（約96km/h）加速においてフェラーリ・デイトナを凌ぎ、最高速度170mph（約274km/h）を誇る性能から「英国初のスーパーカー」とも称賛されています。

映画に登場するV8

この車は007シリーズにも登場しており、1987年公開の『007/リビング・デイライツ』ではヴァンテージ・ヴォランテとサルーンが、2021年公開の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ|007_ノー・タイム・トゥ・ダイ』ではヴァンテージ・サルーンが活躍しています。また、2015年の『007 スペクター』を記念したジレットのCMにも、銀色のサルーンが登場しました。さらに、ローワン・アトキンソン主演のスパイ・コメディ映画『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』（2018年）でも赤色のヴァンテージが主要な役割を果たしています。

エンジン性能とシャシ

V8は、その名の通り5,340ccの水冷90度V型8気筒エンジンを搭載しており、DOHC設計による高性能エンジンです。このエンジンは最高回転数6,250rpmを誇り、305hpを生成します。基本モデルは初期型がボッシュ製の機械式燃料噴射装置を使用し、後期モデルはダウンドラフトツインチョークウェーバーキャブレターに変更されています。

特に高性能モデルであるV8ヴァンテージのエンジンは430hpを出すとも言われています。シャシにはスーパーレジェッラ工法が用いられ、細い鋼管にアルミパネルが手作業で溶接されています。ボディは22層以上の塗装が施され、長いノーズと共に存在感を放っています。

伝説のトランスミッション

トランスミッションにはクライスラー製の3速オートマチックやZF製の5速マニュアルがオプションとして用意され、ドライバーに選択肢を提供しています。

足回りと内装

足回りには当時最高峰のパワーステアリングが搭載されており、高い制動力を実現しています。ガーリング製のブレーキやベンチレーテッドディスクブレーキが使用されており、信頼性の高いブレーキング性能を誇ります。

内装は贅沢なコノリーレザーを使用し、メーターはスミス製の6つとルーカス製のアンペアメーターが配置され、使いやすさと高級感を兼ね備えています。また、エアコンディショナーも装備され、快適なドライブが楽しめます。

結論

アストンマーティン V8は、性能、デザイン、映画との関わりにおいて、スポーツカーの金字塔とされる魅力を持ったモデルです。自動車の歴史において重要な位置を占め、今なお多くのファンに愛され続けています。

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